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ラトビアの批准、ポーランドとデンマークの国民投票
このように憲法条約の「生命」が危ぶまれる中、ラトビアの国会(一院制)は、6月2日、圧倒的多数の議員の賛成の下、批准を決定した(詳しくは こちら)。
また、イギリスの反応とは異なり、6月6日、ポーランドの Rotfeld 外相は、国民投票を予定通り、10月9日に実施することを明らかにした。なお、フランスやオランダで批准が否決されたことについて、同外相は、ポーランドの国民投票には拘束力がないことを指摘している(詳しくは
こちら)。
さらに、デンマークの Rasmussen 首相も、6月6日、Blair 首相と電話で話をした後、国民投票を予定通り2005年9月27日に実施すると発表した(参照)。なお、近時のアンケート調査によれば、批准反対派(38%)が賛成派(34%)を上回っている(参照)。
(2) アイルランドとポルトガル
他方、アイルランド政府は国民投票の延期を検討しているとされる。また、ポルトガル外相は、6月16・17日の欧州理事会で、加盟国首脳は批准手の中断を決定することになろうとのべている(参照)。
New 欧州理事会の決定
(3) ルクセンブルク
現在、EU理事会 議長国を務めるルクセンブルクは、7月1日に国民投票を実施する方針を変更していない。Jean-Claude Juncker 首相 は、批准が否決されるようなことがあれば、辞任するとして強い態度で臨んでいる(詳しくは こちら)
なお、6月9日、ルクセンブルク政府が発表した世論調査では、依然として、批准賛成派が多数を占めている(詳しくは こちら)。
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6月21日、ルクセンブルクの国会は、国民投票を予定通り、7月10日に実施することを決定した。
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6月28日、ルクセンブルクの国会は批准を支持した(仮決定)(詳しくは こちら)。
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7月10日に実施された国民投票で、批准が可決された(詳しくは こちら)。 |
(4) ギリシャ
ギリシャ国会は、すでに憲法条約の批准を決定しているが(詳しくは こちら)、6月9日に公表されたアンケート調査結果によれば、批准反対派が賛成派を大きく上回っている(詳しくは こちら)。
チェコの状況については こちら
直面している危機的状況 について、EU加盟国は、2005年6月16・17日の定例 欧州理事会 で審議するものと見られているが、批准手続の中断が濃厚である。しかし、それによって危機は、むしろ深まるだけであるとの見方もある(参照)。
原加盟国であるフランスとオランダ抜きのEU統合は考えられないため、両国に有利な条項を憲法条約内に盛り込むといった打開策も完全には否定されないが、その場合には、すでに批准を決定した国も、手続を最初からやり直さなければならない(憲法条約が修正されるため)との指摘もあり(スウェーデンの Persson 首相)、6月16・17日の欧州理事会で、フランスやオランダがどのような要請を行うか注目されている。
アイルランドとチェコは、国民投票の実施について、まだ検討中であるが、最終決断は、6月16・17日の欧州理事会まで待たれることになろう。なお、かねてより、オーストリア政府は、EUレベルで統一して国民投票を実施することを提案しているが、支持されていない。
欧州憲法条約は、批准が難航する場合について、予め定めている(詳しくは こちら)。
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