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EUの旗 E U 市 民 の支 持 率 低 下

 Eurobarometer の委託を受け、TNS Opinion & Social が実施したアンケート調査によると、EU市民のEUへの支持率は低下している。調査は、2005年5月9日から6月14日にかけて、総計29,328人のEU市民を対象に全てのEU加盟国内で行われた。

 EUに対し肯定的なイメージを持っていると答えた者は、25ヶ国平均で47%に留まり、2004年秋の調査時より3%低下した。他方、自国のEU加盟を評価する回答者は過半数に達しているが(54%)、2004年秋より2%落ちている。この傾向は新規加盟国内で強く、特に、リトアニアとキプロスで顕著である。これには加盟国内の経済・雇用情勢が反映されていると捉えることもできるが、新規加盟国では高い経済成長率を記録している(もっとも、雇用情勢は依然として厳しい)(参照)。また、好景気に沸くイギリスの状況は最も悪い(EUに対し肯定的なイメージを持っている者は28%、自国のEU加盟を支持する者は36%)。なお、伝統的にEU懐疑論が強いイギリスでは、政治同盟への発展を望む回答者の割合も最も少なく、34%であった(平均は58%)(参照)。

 フランスオランダ の国民投票の結果も大きく影響していると解されるが、政治家の主導で進えられる欧州統合に対し、EU市民の不満や不信感は強い。回答者の53%は、自らの見解はEUの政策に何ら影響を与えないと答えている。市民との対話を活性化し、幅広い信頼や支持を獲得することはEUや加盟国の重要な課題にあたる(参照)。

 なお、EUに対し良いイメージを持っている回答者の割合が最も高いのはアイルランド(68%)であり、イタリア(63%)、ルクセンブルク(58%)、スペイン(57%)、スロベニア(57%)、ベルギー(56%)、ポルトガル(56)が続いている(25ヶ国平均は47%)。総じて、南欧諸国では良い評価が得られているが、フランスは49%、オランダは38%である。

 他方、自国のEU加盟を支持すると答えた者が最も多いのはルクセンブルク(80%)であるが、拡大EUに飲み込まれるといった危惧感が強く現れていた オランダ (77%)が続いている。また、アイルランド(75%)、ベルギー(67%)、デンマーク(59%)、リトアニア(59%)など、中小国の支持率も平均値(54%)を上回っている。他方、フランスは51%であった。



(参照) Eurobarometer の統計

Europäische Komission, Vertretung in Deutschland, EU-NACHRICHTEN, Nr. 27, Seite 7-8

2006年の調査結果 New


(2005年7月28日記)