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ラトビア大統領、新旧加盟国間の軋轢について語る

ラトビア国旗 2004年5月の 東方拡大 後、新旧加盟国間の違いがますます明確に認識されるようになっているが、Frankfurter Allgemeine 紙のインタビュー記事(2005年9月12日付け)において、ラトビアの Vaira Vike-Freiberga 大統領(写真右下)は、新旧加盟国の軋轢について語っている。その概要は以下の通りである。


リストマーク 新旧加盟国間の軋轢について

 豊かな加盟国(従来の加盟国)と、まだ貧しいものの、急速な成長を遂げている新加盟国との間には、経済的軋轢が生じている(参照)。これは、例えば、競争力の大きな違いに起因しているが、非常に野心的な新加盟国は、成功を収めつつあり、いずれは、従来の加盟国を「害する」ようになるであろう。つまり、新加盟国は、従来の加盟国の安全や豊かさを脅かすようになるであろう。しかし、それゆえに従来の加盟国は激怒してはならない。むしろ、新加盟国のダイナミックさ、ハングリー精神、また、発展の可能性を起爆剤として、自らの制度改革を推し進めるべきである。これまで、EUは、新加盟国に大規模な改革を要請してきたが、従来の加盟国の中には、「我々は金持ちである。なぜ、我々が変わらなければならないのか」というような考えがある。このような見解は、もはや支持されない。


 


ラトビアの Varia Vike-Freiberga 大統領

Vike-Freiberga 大統領

写真提供
Audiovisual Library European Commission

リストマーク 従来の加盟国は、東方拡大の影響(マイナス面)を現実に認識するようになったのではないか?

 それゆえに、これまでの欧州統合の成果を否定すべきあろうか。むしろ、我々は、お互いについてより良く知るべきであるが、これは、一朝一夕には実現しえない。





欧州憲法条約の見直しを

 インタビューの中で、Vike-Freiberga 大統領は、2ヶ国によって批准が否決された欧州憲法条約(参照)は、もはや発効しえないであろうと述べている。また、同条約は、非常に膨大で、分かりにくいため、主要な点を明確にすべきであるとしている。

 さらに、条約が新たに制定される場合には、個々の加盟国ごとにではなく、EUレベルで国民投票を実施すべきであるとしている。この案は、すでにオーストリアによって提唱されているが(参照)、その他の加盟国の支持を得るにはいたっていない。

 




(参照) FAZ v. 12. September 2005, Seite 4 (Die Türkei ist eine harte Nuß)


東方拡大より1年、中東欧諸国の現状 

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(2005年9月12日 記)