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トルコのEU加盟問題

欧州憲法条約批准危機の影響


トルコ国旗 2004年12月、EU加盟国首脳は、トルコとのEU加盟交渉を2005年10月3日に開始すると決定したが(詳しくは こちら)、従来のEU加盟国の国民の間には反対論が根強い(詳しくは こちら)。先ごろ、フランスオランダ で実施された国民投票でも、多くの有権者は、トルコのEU加盟に反対するあまり、欧州憲法条約 の批准に反対したと解されている。特に、オランダでは、反イスラム主義が主たる争点になった(詳しくは こちら)。また、フランスの投票者の35%は、トルコのEU加盟に反対し、欧州憲法条約の批准にも反対票を投じたと見られている(参照)。

 EU(EC)の原加盟国であるフランスとオランダで、憲法条約の批准が否決されたことについて、トルコの Abdullah Gül 外相は、自国の加盟が影響を及ぼしたわけではないと述べている。また、国民投票の結果は、加盟交渉の開始(10月3日)に変更をもたらすものではないとしているが、トルコ政府の中では、懐疑論が高まりつつあるとされる。特に、Ali Babacan 財務相は、加盟交渉は困難になるであろう発言している(参照)。

 もっとも、来る10月3日に加盟交渉が開始されること自体については、EU加盟国政府やトルコ政府も確信を得ている。トルコのEU加盟に反対しているドイツの CDU・CSU も、加盟交渉の開始そのものには異議を述べていないが(参照)、すでに確定された計画を破毀するのは困難と解される。

 




new 2005年6月11日付けの Die Presse 紙によると、 同16・17日の 欧州理事会 の決議に、トルコとの加盟交渉の開始 次期に関する声明は盛り込まれないことになった。これは、フランスやオーストリアの要求に従ったものであるが、昨年12月の決定に変更がないことを意味するものとして説明されている(参照)。






(参照) Die Presse v. 4. Juni 2005 (Ankara rechnet mit negativen Folgen der EU-Krise)

Die Presse v. 11. Juin 2005 (Erweiterung:  Symtomatischer Konflikt um Turkei-Datum)


欧州憲法条約批准危機


(2005年6月11日)