2004年12月17日、欧州理事会は、トルコは、コペンハーゲン基準(政治的要件) を満たしているため、加盟交渉を開始すべきであると決定した。
ただし、加盟要件を満たすためにトルコが制定した国内法(参照)の施行が、交渉開始の条件とされている( トルコ、要件を満たす)。予定されている交渉開始日は、2005年10月3日であるが、これは、「遅滞なく」開始するとするコペンハーゲン欧州理事会の決議(2002年)に完全に合致していない。
その他の決定事項は以下の通りであるが、基本的に、EU理事会議長国 オランダの提案 に基づいている。
トルコの制度改革の監視
トルコの制度改革の進展には目を見張るものがあるが、EUは今後も監視すべきである(para.
18)。
キプロス問題
EU・トルコ間の協議では、キプロス問題が最大の争点となったが、トルコは、加盟交渉の開始までに、関税同盟の拡大に関する議定書に署名するという妥協案が最終決議に盛り込まれた(参照)。また、
加盟交渉過程でも、この問題を扱い、必要であれば、国際司法裁判所に提訴することが決定された(paras.
19-20).
トルコ、議定書を締結
過渡期間、例外規定、セーフガード条項
人の移動の自由、地域政策、農業政策 などの分野において、長期的な過渡期間、例外規定、また、恒常的なセーフガード措置の必要性について検討する。また、人の移動の自由に関しては、個々の加盟国に決定権を与えるものとする(para.
23)。
トルコからの大量の労働者の移入について (こちらも 参照)
EU予算
トルコの加盟は、2014年以降の予算枠において初めて考慮する(para. 23)。したがって、EU加盟が実現するのは、早くとも2014年となる。
現在、EU加盟国は、2007〜2013年の予算枠組みについて審議しているが(参照)、2014〜2020年の枠組みが議題に上がるのは、2010年頃と解される。それが決定された後に初めて、トルコとの加盟交渉を終結させることができる。交渉の終了後、全EU加盟国とトルコの間で加盟協定が締結され、全締約国によって批准されれば、加盟が実現する。
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予算問題について
加盟交渉の目標・中断
交渉は、EU加盟の実現によって終了しなければならないものではなく、その結果は保証されない。トルコのEU加盟が実現しえない場合には、できるだけ強い結束関係を構築し、EUへの統合が保障されなければならない(para.
23)(Chirac 大統領の見解参照)。
欧州憲法条約第I-57 条
自由の保障、民主主義、人権や基本的自由の保護、また、法の支配の諸原則に関し、重大な違反が継続する時は、欧州委員会は、自らの決定に基づき、または、3分の1の加盟国の要請に基づき、加盟交渉の中断や再開の条件について提案するものとする。これに基づき、EU理事会は、トルコの見解を聴取した上で、特定多数決により、交渉の中断や再開の条件について決定する。なお、欧州議会にも通知するものとする。
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