E U  加  盟  手  続



 第3国のEU加盟手続の概要は以下の通りである(リスボン条約発効後のEU条約第49条参照)。

  

@

 EU加盟を希望する国は、理事会に加盟を申請しなければならない(第49条第1項第3文)。なお、明文の規定はないが、この申請があれば、理事会は欧州委員会に通知するものとされている。また、リスボン条約に基づき、欧州議会と加盟国議会に通知することが明文で義務付けられているが(第2文)、誰が知らせるべきかは特定されていない。

A

 欧州委員会は、申請国が 加盟基準 を満たしているかどうかを調査し、理事会に報告する。

B 

 欧州委員会の意見を聞いた上で理事会は申請国と加盟交渉を開始するかどうか決定する。

 開始が決定された場合、EU加盟国と個々の申請国との間で交渉が行われ(EUの利益は欧州委員会によって主張される)、その最終結果は欧州理事会によって採択される。


 現在、EU加盟国は、トルコとクロアチアの2国と加盟交渉を行っているが、その開始に先立ち、欧州理事会は、自由の保障、民主主義、人権や基本的自由の保護、また、法の支配の諸原則に関し、重大な違反が継続する時は、加盟交渉を中断しうると決定した(詳しくは こちら)。

  加盟交渉手続の改善に関する欧州委員会の提案(2006年11月)


   トルコとの加盟交渉手続 

   欧州理事会とEU理事会の違い

 

C

 欧州理事会によって、申請国のEU加盟が了承されれば、理事会は、欧州議会の同意を得て、新規加盟について全会一致で判断を下す。なお、欧州議会の議決は、議員の絶対多数決による(第49条第1項第3文)。

D

 理事会によって新規加盟が了承されれば、EU加盟国と申請国との間で加盟協定(国際条約)が締結され、加盟条件やEU条約・EC条約等の改正について定められる(第49条第2項第1文)。なお、この協定が発効し、EU加盟が実現するには、全締約国が国内憲法の規定に従い批准することが必要になるが(第2文)、まず、申請国によって批准され、EU加盟国の批准はその後に行われる。






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