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欧州委員会、加盟交渉手続の改善を提案


 2006年11月8日、欧州委員会は、EU拡大戦略と2006〜2007年の主要課題についてまとめた報告書を発表した(ダウンロードは こちら)。

 かねてより注目されていたのは、EUの受け入れ能力 という新しい加盟要件の解釈・適用についてであったが、この要件は、@ 第3国の加盟後も、EUの諸制度は適切に機能しうるかどうか、また、A 第3国はEU加盟国としての義務を遵守しうるかどうかという2つの観点から検討されるべきであると委員会は提案している。@の点については、加盟交渉の主要な各段階で審議される。また、委員会は第3国の加盟がEUの主要政策に与える影響について検討し、特に、財政的な影響については、農業政策や地方政策などの主要政策について調査すべきとされる。さらに、第3国の加盟に際しては、EU(EC)の機構制度改革、特に、EU理事会における各国の持票数や欧州委員会の構成の見直しが避けられないとしている。

 現在、トルコクロアチア との加盟交渉が行われているが、その他の旧ユーゴ構成国 とも交渉が開始される可能性がある。このような状況に鑑み、委員会は交渉手続の改善についても提案している。それによれば、EC法の総体系(acquis communautaire の受け入れに関する交渉を開始したり、終了させる際の判断基準を設けるべきとされる。また、従来は、EC法の受け入れの容易な分野から交渉が開始されているが(参照)、過去の経験を踏まえ、司法制度改革や汚職・集団犯罪対策を早い段階で検討することなどが提案されている(2006年元旦ないしそれ以降のEU加盟が決定しているブルガリアやルーマニアは、前掲分野での改善がいまなお強く求められている〔参照〕)。さらに、迅速な拡大に対するEU市民の不安を取り除くため、情報公開やEU市民との対話を促進し、また、委員会は、欧州議会、加盟国や市民社会との協力関係を強めるとされている。

 

    ・ トルコに関する評価

    ・ クロアチアに関する評価
  
    ・ その他の旧ユーゴ構成国に関する評価



(参照) 欧州委員会の報告書
(2006年11月9日 記)