冷戦終結後、旧ユーゴスラビア連邦では民族紛争が激化し、7つの国に分裂したが、西バルカン半島の安定と発展を図るため、EUはこれらの国々との関係を深めている。その最終目標は旧ユーゴ構成国のEU加盟にあるが、スロベニア はすでに目標を達成している(2004年5月1日の東方拡大)。また、クロアチア との加盟交渉は2005年10月3日(ないし4日)に開始されている(詳しくは こちら)。
他方、和平の実現や民主化が遅れた、残りの5ヶ国との交渉は、まだ初期の段階にあり、加盟候補国としての地位もまだ与えられていない。その前提となる安定化・連合協定が発効しているのも、クロアチア、モンテネグロ、アルバニアの3国に過ぎない。なお、2008年4月末、セルビアとの間においても同協定が締結されるにいたったが、まだ発効していない(詳しくは
こちら)。それぞれの国の状況は下記の通りであるが、EU加盟が実現する見通しはまだ立っていない。
コソボがセルビアからの独立を一方的に宣言した2008年は、EUの西バルカン半島政策にとっても非常に重要な年となった(詳しくは こちら)。同年3月のEU理事会(外相会議)に提出された報告書において、欧州委員会は、将来のEU加盟の可能性を明瞭に示すとともに、災害予防・保護策や地域政策などを強化する必要性を訴えている。また、旧ユーゴ諸国からの奨学金留学生の数を引き上げるなどの措置を取っている。
諸国の「ヨーロッパ化」をさらに促すため、2008年元旦より、ビザの優遇制度が実施されている。これによって、旧ユーゴ構成国からEU加盟国内へのビザ発給手数料は従来の60ユーロから35ユーロに引き下げられているが、学生や年金生活者には、さらに特例が適用される。また、労働者やジャーナリストの入国許可条件も緩和されている。
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