2005年12月15・16日、ブリュッセルにおいて 欧州理事会 (EU加盟国首脳会議)が開催された。主な議題は@ EUの次期財政計画 であったが、A アフリカ諸国、イラン、イラク、EU拡大、移民政策、EU外境警備といった外交政策に関する案件や、B 経済成長と雇用の促進、C テロ対策など、多くの案件について協議された。なお、欧州憲法条約 の批准については審議されなかった。
12月の欧州理事会の主な決定事項は以下のとおりである。
次期財政計画
こちら を参照
アフリカ政策
2005年6月の決定に基づき、欧州理事会は、"The EU and Africa: Towards a Strategic Partnership"
を採択し、アフリカ諸国との間に「戦略的パートナーシップ」を形成する基盤を整えた。新しいプログラムは、移民問題を優先課題とし、EU・アフリカ間の政治対話の強化を柱としているが、2006年以降、欧州委員会は、政策の実施について定期的に調査することになっている。近年、EU加盟国(スペインやイタリア)には、多数の移民が押し寄せ、大きな問題に発展しているが、再発を防ぐため、原因を究明し、また、アフリカ諸国の貧困問題の解決に貢献すべきであることが確認されている。
イラン
イランの Ahmadinejad 大統領がイスラエルの撲滅や、ナチスによるユダヤ人大虐殺(holocaust)を否認していることについて、欧州理事会は厳しく非難すると共に、イラン政府が核開発を進めていることに強い懸念を示す声明を採択した。なお、EUは、従来通り、外交的交渉を重視するとしているが(参照@、A)、イランの挑発的な行動を考慮すると、方針の見直しについて検討する必要性もあるとしている。
EU拡大 〜 マケドニア
欧州委員会の提案に従い、欧州理事会は、マケドニアに加盟候補国の地位を与えることを了承した(参照)。なお、加盟交渉の開始(時期)については定められていないが、コペンハーゲン基準(政治的要件) やすでに締結されている 安定化・連合協定 の履行状況、また、EUの受け入れ能力を考慮し、検討するものとされている(参照)。
テロ対策
欧州理事会は、テロの過激化やテロリストの養成を防止するプログラムを採択した。また、その実効性を保証するため、現行制度 の見直しについても決定している。現在の取り組みについては、担当機関によって報告書が提出され、欧州理事会は、政策の発展状況を評価しているが、次回は、2006年6月に審議される。
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