EU外相の任務について
EU外相は、EU理事会(外相理事会)を統括し、また、加盟国と調整しながら、議題を決定する。欧州憲法条約に基づき、EUにも国際法人格が与えられ(参照)、第3国やその他の国際機関と外交関係を結ぶことが可能になるが、[現在、全世界の128箇所に設けられている]代表部を指揮するのもEU外相の職務の一つになる。
欧州委員会における任務について
EU外相は、欧州委員会の副委員長を兼任することになるが、同委員会は、外交問題だけではなく、発展援助政策 や 通商政策 など、対外的な政策を統括している。委員会において、EU外相は、これらの諸政策を調整することになる。
欧州理事会議長との役割分担について
欧州憲法条約に基づき、欧州理事会議長も新たに任命されるが(参照)、同議長にも対外的代表権限が与えられている。もっとも、同議長は、欧州理事会を対外的に代表するのに対し、EU外相は、EUや欧州委員会を代表することになる。なお、現在でも、第3国との外交交渉には、欧州理事会議長国、欧州委員会委員長、また、共通外交・安全保障政策の上級代表 が出席している。
EU加盟国の外交機関との職務の調整について
EU外相には包括的な権限が与えられることになるが、加盟国の外交当局が理性的であるならば、衝突は生じないであろう。
EU加盟国の外交・安全保障政策の調整について
イラク戦争に際し、EU加盟国の足並みは乱れたが(Solana 氏自身は、イラク戦争に反対である)、国連安全保障理事会の常任理事国であるイギリスとフランスが対立しないのであれば、EUとしても統一見解を持つことができるようになろう。
国連安全保障理事会の常任理事会入りについて
EUが常任理事会入りするという案(参照)は、現時点は現実的ではない。
米国との関係について
EUが外交・安全保障政策を強化することは、米国の利益にもかなう。両者がライバル関係にあるわけではないことは、理性的なアメリカ人によっても認識されている。
中東和平実現とEUの役割について
EUは、国連案の実現を支持し、独自の和平案を実施するわけではない。
イランの核開発について
核開発の中断をイラクに説得できるとは思っていない。
EU独自の諜報機関の設置について
諸外国が有するような諜報機関は設けられないが、情報の分析は現在でも行っており、成果をあげている。
財政について
現在、危機管理(安全保障政策)に関しては、最低限度の予算しか組まれていない。EUの国際交渉力を高めるためにも、構造改革が不可欠である。
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