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セルビア・モンテネグロとの連合協定締結交渉中断

モンテネグロの国民投票に与える影響は?


セルビア・モンテネグロの国旗 2006年5月21日、モンテネグロ共和国では国民投票が実施され、セルビア共和国との分離・独立に関する決定が下される予定である。 独立支持票が55%に達すれば、両共和国の分離に関する協議が実施され、支持票が50〜55%の場合は、国家連合に関する合意(2003年)の見直しが行われることになっている(支持票が50%を切る場合は、現状維持)。


New モンテネグロ国民、独立を決定


 2006年5月3日、EUは、セルビアの旧ユーゴ国際刑事裁判所に対する協力が不十分であることを理由に、セルビア・モンテネグロとの連合協定の締結交渉を中断したが(詳しくは こちら)、これは、5月21日の国民投票にどのような影響を及ぼすであろうか。ボスニア出身の研究者 Vedran Dzihic 氏は、直接的な影響はないものの、セルビアが Mladic 容疑者の逮捕・引渡しに消極的な態度をとり続けるのであれば、独立し、単独でEUとの交渉を進めた方が良いと考える者が出てくる可能性があるとしている。他方、独立反対派は、独立は欧州統合の理念(国境の廃止)に反すると訴えているとされる(参照)。


 従来、EUは、国家連合としてのセルビア・モンテネグロと交渉を行っているが、非公式には、それぞれの共和国との個別交渉がなされているとされる(参照)。


 なお、現在、EUは、旧ユーゴスラビア諸国の安定と発展を支援するため、連合協定の締結を検討しているが、バルカン半島政策について、 民主主義の確立や権利保護などの基本諸原則を確立させること以外に、明確なビジョンを持っているわけではない。国民投票の結果、モンテネグロが独立する場合、セルビアに対する対応を含めた新たな問題に直面することになる。

 


(参照)

Der Standard v. 2. Mai 2006 ("Montenegro führt bereits eigenständige Verhandlungen")


EUとセルビア・モンテネグロとの交渉中断 


旧ユーゴスラビア連邦構成諸国とのEU加盟交渉



(2006年5月15日記)