モ ン テ ネ グ ロ 国 民、独 立 を 決 定 |
セルビアとモンテネグロで構成される国家連合からの独立を支持した票数は55.4%にとどまり、独立決定に必要な55%をかろうじて上回ったに過ぎないが、他方、投票率は86.3%と高く、国民投票の結果に強い正当性を与えることになった。 |
独 立 賛 成 票 | 55.4% |
独 立 反 対 票 | 44.6% |
投 票 率 | 86.3% |
モンテネグロ国民の意思が尊重され、実際に連合国家体制が解消されるとなれば、モンテネグロにとってだけではなく、セルビアにとっても新しいスタートとなる。セルビアでは王政の復活も検討されているという(参照)。また、モンテネグロの独立は、現在、国連の主導下で進められている コソボ の独立にも、少なからぬ影響を与えるものと解される。なお、国家連合の解消により、セルビアは海に面しないことになり、海岸沿いの施設について、モンテネグロとの協議が必要になる。
他方、モンテネグロにとっては、人口がわずかに65万人という小国特有の問題を克服するだけではなく、経済的独立性を達成する必要がある(なお、一人当たりの所得は、正味236ユーロと、セルビアを若干上回っている〔参照〕)。その実現には、EUの支援が不可欠であるが、セルビアと分離して、安定化・連合協定の締結交渉を進められることは、モンテネグロにとって有利となる(参照)。なお、連合国家としての地位はセルビアが継承することになるため、モンテネグロは諸国との外交関係の樹立や国連などの国際機関への加盟に努めなければならない(参照)。 |
国 名 | 人口(単位:万人) |
セ ル ビ ア (コソボを除く) | 750 |
モ ン テ ネ グ ロ | 65 |
現在のEU加盟国 |
人口(単位:万人) |
・ キプロス | 80 |
・ ルクセンブルク | 45.5 |
・ マルタ | 39 |
現在、EUは、 バルカン半島諸国の安定や経済発展(安定化・連合協定の締結)、また、民主主義や基本権保護といった基本諸原則 (参照)の確立を除けば、バルカン政策に関し、明確なビジョンを持っていない。モンテネグロの国民投票は、セルビアとの分離を完全に達成させるという新しい課題をEUに与えることになった(参照)。 |
![]() |
(参照) |
Der
Standard v. 2. Mai 2006 ("Montenegro
führt bereits eigenständige Verhandlungen")
|
|