セルビア・モンテネグロとの連合協定締結交渉、停滞す E U の 要 請 満 た さ れ ず |
2005年10月、EUとセルビア・モンテネグロは、安定化・連合協定の締結に向け交渉を開始したが(詳しくは こちら)、当初より、交渉の進展は、セルビア・モンテネグロが旧ユーゴ国際刑事裁判所に全面的に協力することが条件とされてきた。しかし、EUの再三の要請にもかかわらず、この条件が満たされていないため、交渉は座礁に乗り上げている。 EUは、2006年4月末までに戦争犯罪で告発されている Ratko Mladic 氏を逮捕し、身柄を国際刑事裁判所に引き渡すよう要求していたが、この期限は守られなかった。5月3日、欧州委員会は国際刑事裁判所と再び協議し、今後の対応について決定する予定である。
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ユーゴスラビア諸国がEU加盟を目指し、EUとの結びつきを強化していることから、国際刑事裁判所は、容疑者の引渡しを諸国に働きかけるよう、EUに要請している(クロアチアの例)。Mladic 容疑者は、1992〜1995年のボスニア内乱の際の大殺戮をはじめとする戦争犯罪で告発されているが、身柄はまだ拘束されていない。セルビア・モンテグロ国内に潜伏していると解されているため、かねてよりEUも身柄の拘束を訴えている。この要求が満たされなければ、 安定化・連合協定の締結交渉は打ち切るとの厳しい態度で臨んでいたが、よい効果は得られていない。2006年2月末、EUは同年3月末までに容疑者の逮捕・引渡しを通告したが、この期限が守られなかったため、4月末までに延長されていた。しかし、この要請も実現しなかっため、5月3日、EU(欧州委員会)は、交渉の中断を正式に決定した。もっとも、条件が満たされ次第、交渉は再開するとされている。EU加盟という 展望がセルビア・モンテネグロに対し開かれていなければ、容疑者の逮捕や民主化・諸制度の改善の実現はますます困難になると解されるため、EUは今後も圧力を強めつつ、EU加盟への枠組みを整えていくものと解される。なお、近時は、さらなるEU拡大に対する批判が高まりつつあり、2005年3月には、欧州議会も、第3国(特にバルカン諸国)の早期加盟に警鐘を鳴らしている(参照)。 |
(参照) |
Der
Standard v. 28. April 2006 ("Gesprächsende
mit Serbien: EU droht")
Der Standard v. 3. Mai 2006 ("EU stoppt Gespräche mit Serbien") Der Standard v. 4. Mai 2006 ("Verhandlungen mit Serbien offiziell ausgesetzt") FAZ v. 3. Mai 2006 ("EU setzt Gespräche über Annäherung mit Serbien aus")
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