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ブルガリア国旗 ブルガリアとルーマニアのEU加盟

欧州委員会、2007年1月1日の加盟を支持
ルーマニア国旗


 ブルガリアとルーマニアのEU加盟準備状況について調査している欧州委員会は、2006年9月26日、最終報告書を発表し、両国は当初の予定通り、2007年1月1日に加盟しうるとの見解を示した。これは、15年にわたる一連の制度改革が評価されたためであるが(2006年5月の報告書については こちら)、さらなる改革の必要性も同時に指摘されている。両国がこの課題を2006年末までに達成しない場合に関し、欧州委員会は、(加盟実現後も、引き続き)厳格な対処措置を講じる必要があるとしている。このような措置が実際に発動されると、新加盟国はEUの政策に完全に参加できなくなるが、EUの機能や欧州市民の利益を擁護するためには、例外措置や経過措置が必要とされている。さらなる改善が必要とされているのは、例えば以下の分野である。


  ・ 国内憲法の改正を伴う司法制度改革(ブルガリア)

  ・ 汚職撲滅対策(ブルガリア)

  ・ 法の解釈・適用の適正化(ルーマニア)

 改善状況について、ブルガリアとルーマニアは、定期的に欧州委員会に報告しなければならず(初回報告は2007年3月31日までに行う必要があり、制度改革がEUの基準に合致するまで繰り返される)、これが遵守されないときは、保護措置を発動するよう委員会は提案している。保護措置によって、例えば、EU加盟国間における判決の相互承認制度(参照)に例外を設けることが可能になる。

 欧州委員会は、さらに、EU(EC)農業補助金の給付や食料安全保障の分野でも両国は基準を完全に満たしていないため、保護・経過措置(例えば、新加盟国からの食糧品の輸入を規制する)を設けるべきであると提案している。




リストマーク 東方拡大(EU第5次拡大)の完成

 上掲の報告書は、2006年9月26日、欧州委員会より欧州議会(ストラスブール)に提出する形で発表されているが、委員会の Barroso 委員長 は、抜本的な制度改革を達成したブルガリアとルーマニアに賛辞を送るとともに、東方拡大(EU第5次拡大)の完結がヨーロッパの富と平和の実現に大きく貢献することを強調している(参照)。また、欧州憲法条約 が発効しなければ、ブルガリアとルーマニアに次ぐ第3国の加盟は賢明ではないとし、早急な拡大に警鐘をならした。

 





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(参照)

Die Vertretung der Europäischen Kommission in Deutschland, Pressenachrichten v. 26. September 2006 ("EU-Beitritt für Rumänien und Bulgarien")

European Commission, Presse Release of 26 September 2006 ("Key findings of the monitoring report on Romania’s preparedness for EU accession")

European Commission, Presse Release of 26 September 2006 ("Key findings of the monitoring report on Bulgaria’s preparedness for EU accession ")

European Commission, Presse Release of 26 September 2006 ("Accompanying measures in the context of Bulgaria’s and Romania’s accession")


ルーマニアのBasescu 大統領、自国のEU加盟について語る


欧州委員会、2007年の加盟に期待をつなぐ




(2006年9月26日 記)


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