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2005年7月6日付けの Frankfurter Allgemeine 紙に、ルーマニアの Traian Basescu 大統領のインタビュー記事が掲載された(参照)。その中で、Basescu 大統領は、現在のEUの危機 や 自国のEU加盟 について語っているが、その主な内容は以下の通りである。
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![]() Barroso 欧州委員会委員長(左)と Basescu 大統領
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欧州憲法条約批准危機 や、次期財政計画がまとまらなかったことの影響は |
ルーマニアは、EU加盟要件を厳格に満たさなければならず、我々に対する圧力は強まっている(参照)。前政権下での取り組みは弱く、ルーマニアは、2004年5月の東方拡大 には間に合わなかったが、半年前に発足した現政権は断固とした態度で臨んでいるため、本来、EU側の圧力は不要である。
ルーマニアは、ヨーロッパの側につくか、それともアメリカの側につくかという選択を迫られたわけではない。ルーマニアがヨーロッパに位置することは言うまでもなく、他方、外交・安全保障政策上、アメリカとのパートナーシップは非常に重要である。地理的に、ルーマニアはNATOの東端にあり、旧ソ連諸国とも国境を接している。現在でも、黒海周辺には4つの紛争が存在し、今後、どのような発展をみせるか明らかではない。そのため、外交・安全保障政策の強化は重要課題にあたる。
2004年5月の10ヶ国加盟 に次いで、ルーマニアやブルガリアの加盟(2007年1月)がEUの負担になっていることは十分理解している。自国の加盟後は、「休息」が必要になろう。もっとも、平和の確立というEUの使命を考慮すると、バルカン半島への拡大が優先されるべきである。 ルーマニアとトルコは良好な関係にあり、安全保障の観点から、トルコのEU加盟を支持する。また、ウクライナについても同様である。もっとも、両国の加盟が実現しうるかどうか、また、その時期は、EUの受入れ能力に照らし検討されなければならない。
トルコ(やウクライナ)のEU加盟を全面的に否定するのは賢明ではないため、特権的パートナーシップ という妥協案は適切である。
EU加盟が実現した場合、ルーマニアは、EUの東端に当たる。フィンランドに次いで、最も長い「外境」(2050km)を警備すると共に、近隣諸国(バルカン諸国や旧ソ連構成国)との関係を良好に保つことがルーマニアの課題となる。また、近代化されたルーマニアの軍事力は、EUの外交・安全保障政策を強化しうる。
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(参照) | FAZ v. 25. April 2005 ("Eine politische Union braucht eine Verfassung") ルーマニアのEU加盟 欧州憲法批准危機の影響 EUの深刻な危機の影響 |
(2005年7月7日 記) |