Tagesschau (ドイツ第1公営放送 ARD のニュース番組)のウェッブ・サイトには、ヨーロッパ政治学者の Wofgang Wessels 教授のインタビュー記事 が掲載されている(2005年6月4日付け)。その要旨は以下の通りである。
フランス国民に次ぎ、オランダ国民も批准を否決したことについて
これまで、オランダは欧州統合を積極的に支持してきたことを考慮すると、6月1日の国民投票で、憲法条約の批准が否決されたこと は驚くに値する。また、憲法条約に取り込まれた 基本権憲章 や市場の自由化は、従来、オランダが強く支持してきたものである。
国民投票の結果には、国内政府やEUのエリート層に対する市民の不信感が表れているが、本来、憲法条約は、EUをより民主的にし、また、その透明性を高めることに貢献するため、誤った判断を下したといえる。
憲法条約は国民に広く知れ渡っていないのでは?
特に、フランスでは、憲法条約の内容について徹底して議論されたため(参照)、憲法条約に関する認識度は低いとする考えは正しくないであろう。むしろ、「憲法」について賛否両論が主張されるのはごく自然のことであり、時の経過とともに、市民にも受け入れられるようになる。このことは、米国やフランス(第5共和制)の憲法制定史をみても明らかであり、また、ドイツの憲法(「基本法」)は、暫定的な性質でスタートした。
今後の取り組みについて
まず、頭を冷やすことが大切である。憲法条約の批准以外にも、次期EU財政計画 や EU拡大といった重要課題が待ち構えているが、オランダ国民は EU拡大に警戒感を持っていることを考慮する必要がある(参照)。
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