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欧州憲法


フ ラ ン ス の 国 民 投 票 と メ デ ィ ア

フランス国旗 2005年5月29日(日)の国民投票を間近に控え、フランスではメディアの反応も過剰なほどに高まっている。

 一般に、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の各媒体は、憲法条約の批准を支持しており、親EU派ではない Le Figaro (日刊紙)までも、方針を明確に変更し、批准支持を打ち出しているとされる。また、女性誌の Elle も、editorial の中で支持を訴え、「この夏の色は、EUの旗のような青色」と紹介しているとされる(参照)。他方、Liberation 紙は、批判的な記事を掲載している。

 テレビでは、フランス政府首脳のスピーチはもちろんのこと、隣国ドイツやスペイン首相の応援演説や、EU要人のインタビューが流されるなど、支持派に有利な報道になっている。なお、偏った報道を是正するだけではなく、反対派を刺激しないようにするため、欧州委員会の Barroso 委員長が出演する予定であった討論番組は中止されたとされる。まさに、批准反対派は、「上からの」欧州統合やキャピタリズムに抵抗していると解されている(参照)。

 メディアは、欧州憲法条約の内容についても紹介しているため、その内容を知らないフランス国民はほぼ皆無であると見られている。また、どの家庭のにも、憲法条約や国民投票について触れた新聞・雑誌があるため、市民の関心も高まっており(参照)、投票率は高くなるとドイツの代表的日刊紙 Frankfurter Allgemeine は分析している。なお、欧州委員会の調査によれば、憲法条約の内容を知る人は、批准を賛成する傾向にあるとされるが、フランス国内のアンケート調査では、反対派が過半数に達している。

 



(参照) FAZ v. 27. Mai 2005 ("Jasager und Neinmeiner")


フランスの批准見送り危機

フランス大統領、国内の青年とテレビ公開討論

フランスの国民投票で批准が否決された場合

フランスの批准見送りがEU統合に与える影響

フランス海外県・領土の反応

2007年大統領選挙の前哨戦としての国民投票

リベラル化に対するフランス左派組織の抵抗

右派の批准反対とトルコのEU加盟問題



(2005年5月28日 記)