フランスの批准見送りがEU統合に与える影響
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2005年5月29日の国民投票で、フランス国民が憲法条約の批准を否決し、フランスが同条約の批准を見送る場合、同条約は発効しえない。そのため、EU加盟国は、現行の
ニース条約 体制の下、新たな統合過程を模索しなければならないが、これはEUの発展を著しく遅らせることになろう。また、2003年以降、顕著化している 独・仏の主動力 が弱まることも必須である。その結果、中小国の発言力が強まり、EU政治基盤に変化が生じる可能性もある。特に、外交・安全保障政策の面で、米国との関係を重視する「新ヨーロッパ」の台頭(参照@、A)について注目する必要がある。
経済統合については、サービス市場の自由化 や 安定・成長協定の遵守に批判的
な Chirac 大統領の発言力が弱まるため、政策は、むしろ発展ないし安定するとも解される。
以上の点を踏まえ、フランスの批准見送りは、フランスや Chirac 大統領の指導力を弱めることになり、EUには、かえってよい結果が生じるとみる見解もある(参照)。他方、加盟国首脳やEUは、一時的な混乱の方を重くみている傾向にある(参照)。
フランスの指導力はかえって増すとする見方
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