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域内市場におけるサービス提供に関する指令案

欧州理事会における議論
 
 

 2005年3月22日夕方、2日間にわたる欧州理事会が開始されたが、EU加盟国首脳は、早々に安定・成長協定の適用緩和について合意した(参照)。他方、サービス市場の自由化については、見解の対立が一段と鮮明になった。

 従来より、東欧諸国は、サービス市場の自由化を訴えているが、自由化は他のEU加盟国の国民にも労働市場を開放することを意味する。これが実現した際には、給与・社会保障水準の低い東欧諸国の労働者に対抗しえないとして、フランス、ドイツ、オーストリアは、委員会が作成した指令案 に反対している。また、欧州理事会が開始された3月22日、Chirac 大統領は、本年5月29日に予定されている欧州憲法条約の批准に関する国民投票(参照)に悪影響を及ぼしかねないとして、指令案の修正を要求している。この要請を受け、Barroso 欧州委員会委員長は、ソーシャル・ダンピングへの対処策を含め、指令案の見直しを約束しているが、国民投票を理由に指令案を撤回することはできないとしている(参照)。また、ルクセンブルクの Juncker 首相(現EU理事会議長)も同様の立場から、欧州憲法条約とサービス提供に関する指令は一緒にして検討されるべきではないと述べている(参照)。

 


News 3月23日、欧州理事会は、来たる5月にフランスで欧州憲法条約批准の是非を問う国民投票が実施されることを考慮し、批判の多い指令案を修正することを決定した。サービス市場の自由化に賛成していた中東欧諸国も、憲法条約の批准がフランス国民によって否決される場合の政治的な影響を考慮し、修正に同意している(Die Presse v. 24. 3. 2005, S. 4 ("Chirac siegt ueber den "Neoliberalismus"))。

 なお、どの部分がどのように修正されるかについては、触れられていない。また、欧州委員会の Barroso 委員長は、サービス市場の自由化が完全に見送られるわけではないとしている。

  詳しくは こちら




(参照) FAZ v. 22. März 2005 (Ja zur Liberalisierung, Nein zum Sozialdumping)

Die Presse v. 23. März 2005 ("EU-Gipfel: Von Sonderwünschen überfrachtet")



(2005年3月23日 記 3月24日 更新)



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