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2006年上半期 EU理事会議長国

オ ー ス ト リ ア



リストマーク 2006年上半期の主要課題 リストマーク

 2006年上半期、オーストリアは、EU理事会議長国として、EUの議事運営を統率する。EUが「深刻な危機」に直面した2005年中旬以降、「アルプス共和国」に対する期待も高まっているが(参照)、議長国就任を1月後に控えた12月1日、 同国の Karl-Heinz Grasser 蔵相は、経済成長と雇用創出が最重要課題にあたると述べた(参照)。EU内の失業者数は 、9000万人に達しているが、経済を活性化し、これらの者にも職を与えることが極めて重要であるとされる。

 経済成長と雇用創出は、すでに リスボン戦略 の柱にされており、取り組みの強化が図られているが、オーストリアの理事会議長国期間中、欧州委員会は、各加盟国の行動計画 について検討するとされている。また、3月の欧州理事会では、各国の政策を統合することが予定されている。なお、経済を活性化させるためには、サービス市場の自由化 が不可欠であることが従来より指摘されているが、加盟国間における見解が大きく異なっているため(詳しくは こちら)、指令 の制定は、2006年上半期の政策目標から除外されている(参照)。




理事会議長国
の順番


イギリス国旗
イギリス
(2005年下半期)
矢印
オーストリア国旗
オーストリア
(2006年上半期)
矢印
フィンランド国旗
フィンランド
(2006年下半期)


 

 「深刻な危機」を引き起こす一因となった 次期財政計画 については、現在、イギリスの主導下で進められているが、12月の欧州理事会で合意が形成されれば、2006年上半期、オーストリアは、EU諸機関間の見解の調整を行い、2007年より財政計画が実施されるよう努めることになる(New 12月の欧州理事会において次期財政計画は採択された〔参照〕)。なお、財政計画策定の鍵となる イギリス優遇策 の見直しにつて、イギリスは譲歩する姿勢を見せ始めているとされるが、12月の欧州理事会で加盟国の見解がまとまらないとすれば、オーストリアは、新たに大きな課題を抱えることになる。

    New 次期財政計画の決定


 さらなる重要課題として、Grasser 蔵相は、規制緩和や租税詐欺の撲滅を挙げている。

 なお、2006年中旬には、停止されている欧州憲法条約の批准についても検討されることが予定されている(参照)。また、オーストリアの反対により、一時は危機的状況が生じたが(詳しくは こちら)、2005年10月に開始されることになったトルコとのEU加盟交渉も本格的に行われることになる。



ロゴ



 オーストリア政府は、加盟25ヶ国の国旗を横一列に並べたカラフルなロゴを理事会議長国のシンボルに指定している(写真上)。バーコードをモチーフにしたこのデザインは、EUの多様性を示しているとされるが、右端のエストニアの国旗については誤りがある。しかし、現在でも訂正されずに用いられている。エストニア政府は、「芸術作品」と冷静に受け止めているとされる(参照


ロゴの一部

ロゴ

エストニア国旗



(参照) Der Standard v. 25. Januar 2006 ("Ganz offen: Die Farben wurden verwechselt")

Der Standard v. 25. Januar 2006 ("Fehler im Logo:  "Waren gespannt, wie genau es betrachtet wird")


(2006年2月11日 更新)




区切り線


(参照) Der Standard v. 1. Dezember 2005 ("Grasser stellt in Rom Schwerpunkte von Österreichs EU-Ratsvorsitz vor")
 

Die Presse v. 1. Dezember 2005 ("Wien reicht heikles Dossier weiter")


EUの将来

オーストリア:理事会議長国期間中の主要計画

オーストリアとEU


オーストリア:EU加盟から10年、低い満足度

トルコのEU加盟とオーストリア


"The Sound of Europe"
 

写真提供: The Council of the European Union

 

オーストリア国旗 オーストリア理事会議長国の公式サイト

(2005年12月2日 記 12月29日 更新)