2005年5・6月、フランス と オランダ で欧州憲法条約の批准が否決されたことを受け、欧州理事会は、いわゆる Plan D を採択し、同条約の発効に関する協議を翌2006年中旬まで先送りしているが、同年中に大きな展開は見られないと解される。そのため、2007年元旦、議長国の座をフィンランドより引き継ぐドイツのイニシアチブに関心が注がれているが(参照)、2006年5月9日(ヨーロッパの日)、ドイツの Merkel 首相(写真上)は、自国であれ、憲法条約に魔法をかけることはできないとし、早期発効の可能性を否定した。むしろ、内容が複雑であることを考慮すると、早急な決定は望ましくないとしている。もっとも、それゆえにあぐらをかいている余裕はなく、検討を重ね、適切な時期に行動すべきと述べている。なお、ドイツ初の女性首相は、欧州委員会の規模縮小(将来は、各国から委員が任命されない)を疑問視するなど、すでに締結されている憲法条約の修正も視野に入れていると解される。
ヨーロッパの日 にあたる5月9日、ドイツ外務省で開かれたフォーラムにおいて、Merkel 首相は、EU拡大についても言及しているが、ヨーロッパは自らの地理的限界を明確にすべきであり、特定の国に対しては、近い将来のEU加盟はありえないことを明瞭に伝えるべきであるとも述べている。なお、その国の名前は挙げられていないが、かねてより、保守派の
Merkel 首相は、トルコの加盟に否定的な態度を示しており、代替案 を提唱
している(参照)。
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