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欧州憲法


リストマーク 加 盟 国 首 脳 の 見 解 リストマーク


 EUのさらなる発展には、その機能強化、特に、煩雑な行政手続を簡素化し、意思決定能力を高める必要がある。2004年10月に制定された欧州憲法条約は、これに貢献しうると解されるが、フランスオランダ の国民投票で、同条約の批准手続が否決されて以降、その発効は危ぶまれている(詳しくは こちら)。なお、EU改革や憲法条約の必要性そのものは一般に疑問視されていない。新たな憲法条約の制定ないし現在の憲法条約の修正に向け、加盟国は、2007年以降 協議を続けるものと解される。



リストマーク 加盟国の首脳の見解 リストマーク


Monsieur Jean-Claude Juncker

Juncker 首相
(ルクセンブルク)

2005年上半期
EU理事会議長

 フランスオランダ で憲法条約の批准が否決され、その発効に「黄信号」が灯った2005年上半期、EU理事会議長国を務めていた ルクセンブルク の Juncker 首相(写真左)は、当初、憲法条約批准手続の続行を強く訴え、自国の国民投票をよい結果に導いた(詳しくは こちら)。しかし、憲法条約発効の可能性について、その後はトーン・ダウンし、2006年5月17日付けの Suddeutsche Zeitung では、再検討期間(Plan D)は、どんなに楽観的に捉えるにせよ、2009〜2010年まで続くであろうと述べている(参照)。

 なお、2005年6月、EUは深刻な危機に直面していることを強調したのは、憲法条約が発効した暁には初めて選出されることになる、いわゆるEU大統領(欧州理事会議長)のポストに最も近いと目されている Jucker 首相である(参照@A)。


 ・ Juncker首相、憲法条約の批准を強く訴える

   参照 こちら も参照

 ・ 憲法条約の「健康状態」は不明


   参照
Barroso 氏と Juncker 氏の対応
   参照 Barroso 委員長、憲法条約の早期発効を否定




ヴォルフガング・シュッセル首相

Schüssel首相
オーストリア

2006年上半期
EU理事会議長

 2006年上半期、EU理事会議長を務めるオーストリアのSchüsse 首相は、確かに奇妙に聞こえ、場合によっては危険と受け止められることもあろうが、憲法条約は50年の欧州統合の歴史において、最も効を奏した試みであると思うと述べた。これは、5月9日、ブリュッセルで開かれたEU加盟国議員コンファレンスで行った演説の中で発せられた発言であるが、現EU理事会議長は、他により優れたモデルはないとして憲法条約を賞賛するとともに、2ヶ国の国民投票で批准が否決されたことではなく、すでに15ヶ国でポジティブな決定が下されていること(参照)に注目すべきであると述べている(参照)。

 2005年6月の欧州理事会では、翌年の半ばに、欧州憲法条約の「将来」について協議することが決定された(参照)。具体的には、2006年6月、加盟国首脳は話し合うものとされ、同年上半期の議長国オーストリアのイニシアチブに期待が寄せられている。この点について、Schüssel 首相は、6月の欧州理事会では今後の計画の青写真が決定されるに過ぎず、具体的な問題は、2007年末までに決定し、2008年に最終決定を下すべきであろうと述べている(参照)。

 
(参照) Der Standard v. 9. Mai 2006 (Schüssel: "Kenne kein besseres Modell")




フィンランドのVanhanen首相

Vanhanen 首相
(フィンランド)

2006半期
EU理事会議長

 2006年下半期、EU理事会議長国を引き受けるフィンランドは、同年6月の批准を目標に現在、手続を進めている。Vanhanen 首相(写真左)は、フランスとオランダの国民投票の結果を受け、憲法条約発効の見通しが完全に消え去ったわけではないとしている。


 ・
「憲法条約はまだ死んではいない」

   参照 チェコ大統領の批判とラトビア大統領の懐疑論




ドイツのMerkel首相

Merkel 首相
(ドイツ)

2007年 上半期
EU理事会議長

 当初、Plan D は2006年6月に終了するものとされていたが、本格的な首脳協議は2007年以降に開始されるものと 解される。同年上半期、理事会議長国を務めるドイツの Merkel 首相(左)は、憲法条約の重要性を訴える一方で、慎重な構えを見せている。

 なお、キリスト教民主同盟(CDU)の党首であるMerkel 首相は、憲法条約内に「神への言及」を盛り込むべきであると発言しているが(従来の議論については こちら)、この提案が採択される可能性は低い。


 ・ ドイツ首相、協議は慎重に
   参照 イタリアの Prodi 新首相の見解





2005年の国民投票で憲法条約の批准を否決したフランスとオランダ

フランス国旗 フランス
 ・ Chirac 大統領の見解
 ・
国民投票から1年が経過したフランスの状況

オランダ国旗 オランダ
 ・ Balkenende 首相の見解
 ・ Bot 外相の見解






Klaus 大統領

Klaus 大統領
(チェコ)

 他方、チェコの Klaus 大統領(写真左)は、かねてより憲法条約に批判的な発言を繰り返している。なお、この発言は、チェコ政府によって批判されている。


 ・ 大統領の批判:@ A





ラトビアの Varia Vike-Freiberga 大統領

Vike-Freiberga 大統領
(ラトビア)

 ラトビアのVike-Freiberga 大統領も、憲法条約の発効はもはや非現実的であるとみている(詳しくは こちら


 参照 ポーランド首相の懐疑論






Rasmussen首相

Rasmussen 首相
(デンマーク)

 これに対し、かつて、マーストリヒト条約の批准を否決したことのあるデンマークの Rasmussen 首相は、憲法条約の発効を完全には否定していない(参照 @A





(参照) 欧州憲法条約
 ・ 批准
 ・
各国の批准状況


写真提供:© European Community 2006


(2006年5月12日 記 6月4日 更新)