EUとは異なり、ECは国際法人格を有するため、加盟国より独立して行動しうる(EC条約第281条、第282条および第288条参照)(こちらも参照)。例えば、ECは、自らの権限の範囲内において、第3国やその他の国際機関と条約を締結することができる(詳しくは こちら)。なお、交渉のパートナーである第3国やその他の国際機関にとって、ECの意思決定は、EU理事会、または、欧州委員会によってなされるのか、それとも加盟国になされるのかが明らかでない場合がある。これは、ECの対外的代表が必ずしも一本化されていないことに基づいているが、通常、条約締結に関する判断はEU理事会によって下され、その指示に従い、欧州委員会が交渉を進める(参照@、A、B)。条約がECの権限の範囲外の事項についても定めるときは、加盟国の判断も必要になる(参照)。
ECの政策に含まれない外交政策上の案件に関しては、EUの名前で行動が取られることがある。外交分野では、伝統的にトロイカ体制(3頭立て馬車)が採用されているが、現在は、@EU理事会議長国首脳、A欧州委員会委員長、BEU理事会の事務総長 で構成されるのが一般的である(従来のトロイカ体制については こちら)。EU理事会の事務総長は、EUの第2の柱である 共通・外交安全保障政策 の上級代表として外交交渉に参加しているが、欧州憲法条約に基づき、同人は、欧州委員会の副委員長に変更される(第I-28条、詳しくは こちら)。なお、現在、欧州委員会内には、すでに外交問題を担当している委員が配属されているが(参照)、憲法条約の発効後、同人は 欧州近隣政策 を専門的に扱い、外交政策一般は、副委員長の所轄となる予定である。現在、外交問題を担当している Ferrero-Waldner 委員 は外交分野においては、緊急かつ重要な案件が多数存在し、一人ですべてをカバーするのは困難であるため、副委員長との分担は望ましいとしている(参照)。なお、第3国とのEU加盟交渉に関しては、独立した委員が存在する(参照)。
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