オ ー ス ト リ ア 外 相 対 外 関 係 担 当 欧 州 委 員 に 指 名 |
Barroso 欧州委員会 の対外関係担当委員にオーストリアの Benita Ferrero-Waldner 外相が指名された。彼女は本年4月25日のオーストリア連邦大統領選挙に出馬したほどの実力者であるが(もっとも、対立候補の
Fischer 氏に破れた)、EU加盟国が本国に対し制裁を加えた当時も外相の職にあり、関係改善に尽力したことでも知られている。
|
Ferrero-Waldner 墺外相
|
1995年のEU加盟後も、永世中立主義を放棄していない国の現職外相が対外関係担当委員に指名され、EUの外交・安全保障政策や近隣諸国との対外関係を統括することになるが、現在、この任務は、共通外交・安全保障政策の上級代表によっても遂行されている(参照)。国際舞台におけるEUの態度を統一するため、両者間の協調が求められる。
なお、欧州憲法(条約)が発効すれば、Solana 氏(スペイン)は、EU外相として欧州委員会に組み入れられることになるが(参照)、その際の役割分担は明らかにされていない。欧州憲法発効後の人事は、憲法の発効をまって決められるものとされているが、2004年8月12日の会見において、Barroso 新委員長(内定)は、Ferrero-Waldner 女史の職務は、近隣諸国との外交関係に制限されることを示唆しており、彼女自身もこの役割分担を確認している (参照)。なお、対外関係の指揮は新委員長自らによってなされるとされており、Ferrero-Waldner
委員の行動範囲ないし裁量は、この点においても制限されるものと解される。
このようなことを踏まえ、本国オーストリアの政党やメディアからは、一見、要職が割り振られた解される一方で、その職務は、内容的にも、また、時間的にも限定されているとの声が聞かれる(参照 @ A B)。なお、オーストリア出身の Fischler 委員が長年、農業政策担当委員を務めていることから、新委員会では主要ポストは与えられないものとの見方が強かった(参照)。
オーストリア議会が Ferrero-Waldner 外相を新欧州委員として正式に承認したのは、わずか2日前の8月11日であったが(参照)、女性であることが指名の要因の一つになった(参照 @ A)。これは、全委員の3分の1以上は女性であるべきとする Barroso 委員長(内定) の要請に応えたものである。なお、隣国ドイツの Schröder 首相は、オーストリアがEU議長国を務める2006年、 Ferrero-Waldner 外相は不可欠であるとして、ブリュッセル行きを反対したとされるが、最終的に、Barroso
新委員長候補の希望が優先した形となった(参照)。
Ferrero-Waldner 委員 インド洋津波について語る
中国への制裁解除について
Die
Welt v. 13. März 2005 ("Die
Kostüme sitzen wie Panzer")
|