Ferrero-Waldner 欧州委員 EUのインド洋津波救援策について語る |
インド洋津波に対するEUの対応は遅れたという批判について
欧州委員会は迅速に対応しているため、そのような批判は当たらない。津波発生当日の午前8時45分には、Civil Protection Mechanism を起動させ、3時間後には専門家を現地に派遣している(参照)。EUの活動が公の目に触れていないのは確かであり、改善の余地があるが、我々は、被災地に最初に到着したグループの中に属している。
救援活動におけるEUの役割について
現行制度の下では、個々のEU加盟国による救援活動が中心となるが、EUの連帯も重要である。津波発生時、約6万人ものEU市民が被災地に滞在していたと目されており、EUにも大きな衝撃を与えた。そのため、1月7日(金)には、加盟国の外相会議(EU理事会)が開催された。会議では、すでに
Barroso 欧州委員長によって告知されている財政支援額(15億ユーロ)が確認された。
津波発生から2週間近く経過した後に初めてEU理事会が召集され、対応が遅いという批判は当たらない。なぜなら、被災地における救済活動の方が重要であるからである。
なお、フランスの Philippe Douste-Blazy 健康相は、1月2日、EUの対応の遅さ、つまり、EU理事会(健康相会議)の開催が遅れていることを批判している(参照)。
救援策の改善点について
活動の調整が重要課題である。現在、あまりにも多くの医療チームが現地に派遣されているので、調整が進められている。
EUの新たな支援活動について
すでに発表されている財政支援の他に(参照)、貿易や漁業の支援について、1月7日(金)のEU理事会で提案した。また、早期警戒システムの整備は、全加盟国によって支持されている。なお、自然災害対策に関する国連会議(すでに、1998年と2003年にドイツで開かれている)の開催については、提案されなかった。
Ferrero-Waldner 欧州委員は、現在のCivil Protection Mechanism を改善し、新たな危機管理制度の導入を提唱している。これは、自然災害だけではなく、紛争をも対象にしており、加盟国から派遣される消防士、医師、飲料水供給者、警察官などによってチームが構成されべきとされる。この危機管理部隊の規模は、約5000人とされており、平時は加盟国内で待機しているが、緊急時には召集されることになる。Ferrero-Waldner
欧州委員は、2007年までに部隊を編成することを提案している(参照)。同欧州委員によれば、加盟国の反応はよく、欧州委員会、EU理事会、また、共通外交・安全保障政策の上級代表 は、1月31日(すなわち、約20日後)に提案することを希望しているが、それまでに準備しうるか定かではないとされる。なお、Barroso
欧州委員長の報道官は、1月4日、インド洋津波に関しては、人命救助が優先されるべきであり、次に、地域の再建が課題となるため、危機管理部隊の編成について、欧州委員会は、さしあたり、正式に提案する予定はないと述べている(参照)。
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