2004年12月26日に発生したインド洋津波は、EUにも大きな衝撃を与えた。粉雪が舞うヨーロッパから太陽を求めてバカンスに出ていた大勢のEU市民が災難にあったため、EUも間接的な被害地となった。
EU加盟国の中で最も犠牲者が多かったスウェーデン
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Ferrero-Waldner 欧州委員(対外関係担当)によると、津波発生時、約6万人ものEU市民が被災地に滞在していたとされる(参照)。 |
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2005年1月5日には、EU理事会議長国であるルクセンブルク(参照)のイニシアチブにより、EU内の各地では、正午より3分間、黙祷が行われ、20万人以上と目されている犠牲者の冥福を祈った。なお、唯一、デンマークはこれに応じていないが、その理由は明らかにされていない(参照)。
EUの救援策
スマトラ地震の発生直後、欧州委員会は Civil Protection Mechanism を起動させ、当日の正午(CET)には、専門家を現地に派遣している。その後、10日間にわたり、現地調査や救援活動、また、EU加盟国による救援活動を支援してきたが、応急措置は終了したため、チームは現地より引き上げている(参照)。
人道支援事務所(ECHO) も迅速に対応し、津波発生当日には、現地にスタッフを派遣している。また、国際赤十字に300万ユーロの資金を提供している。これは、主として、飲料水、食料、寝具や衛生用品の提供、また、仮設住宅や避難所の設置に使用されることになっている。また、12月30・31日には、2000万ユーロの資金や人的な援助計画が発表された。さらに、2005年1月6日、ジャカルタにおいて、Barroso
欧州委員長は、4億5000万ユーロの追加支援を行うことを明らかにした(その内、3億5000万円はインフラの整備などに当てられ、残りは国連や国際赤十字の人道活動を支援するために使われる)(参照)。なお、以上の金額には個々のEU加盟国による支援額は含まれておらず、それらを合わせると、1兆5000億ユーロに達すると見られている(参照)。
人道支援に関する基本的な権限は加盟国の下に残っており、EUはこれを調整しうるに過ぎない。なお、今回の救援活動は国連の主導下で行うべきものとされており、EUによる調整は、当面、見送られている。
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2005年2月10日、欧州委員会は、被害地域の水産業の復興を支援するため、長期的に技術支援を行うことを決定した(参照)。 |
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