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東 方 拡 大 後 の 欧 州 諸 国 と の 協 力 制 度 (ENP)


  2004年5月1日、歴史的な拡大を経て、EUは近隣諸国との関係を新たに構築しつつある。例えば、「永遠の第3国」であるスイスとの統合はさらに発展し、同国のシェンゲン協定加盟、また、いわゆるタックス・ヘブンの見直しも現実味を帯びてきた(参照)。

 その他、5月1日が新たな「ヨーロッパ分断の日」になることを防止し、また、近隣諸国の安定性、民主化、人権尊重や経済発展を促すため、欧州委員会は、去る5月12日、欧州近隣政策 (European Neighbourhood Policy (ENP)) の大綱(案)を採択した(参照)。本政策の対象となるのは、ロシア、ウクライナ、白ロシア、モルダビア地方や地中海諸国といった、長期的にもEU加盟の見通しが立っていない国々であるが (そのため、加盟候補国である トルコ は除外されている)、当該東欧・南欧諸国との政治・経済(貿易)関係を強化し、また、エネルギー網や交通網の構築、さらに、移民・テロ対策分野における司法・内政協力の必要性が指摘されている。これらの目標は、協定を締結し、共同計画を立ち上げることを通し実施されることになるが、いかに早く実現しうるかは、EUと第3国がどれほど多くの価値観を 享有しているかいるかどうかにかかっている。欧州委員会によって作成された政策案は、今後、EU理事会と欧州議会に送られ、最終決定は、同理事会によってなされることになっている。

 なお、前述したように、この決定では、EUの域境も強調されている。つまり、長期的に見ても、旧ソ連と東欧諸国との境がEUの「東の果て」になるとの見解が Verheugen 欧州委員(EU拡大担当)  によって示されている。なお、すでにEUに加盟しているバルト3国はその例外に当たる。




欧州委員会
Verheugen 欧州委員(左)とProdi 欧州委員会委員長

写真提供 Audiovisual Library European Commission
(2004年5月14日記)




   (参考)

欧州委員会の公式サイト
 ENP について [英語]
 EU・スイス間の協定について [英語]
 EU・ロシア間の協定(PCA)について [英語]


EU・ロシア関係
 ・ 2006年5月の首脳会談 
 ・ 2006年10月の首脳会談 
 ・ 2006年11月の首脳会談 


Verheugen 欧州委員 ウクライナとトルコのEU加盟について語る