2006年6月21日、ウィーンにて、EU・USA首脳会談が行われた。外交政策、テロ対策、通商政策、エネルギー政策、地球環境の保護など、議題は多岐にわたったが、一連の国際問題に関し、より結束して取り組むことで双方は合意した。特に、農業補助金の削減をめぐる両者間の対立を早期に解消し、WTO貿易自由化交渉を成功裡に導く必要性が確認された。欧州委員会の
Barroso 委員長と Bush 大統領は、交渉決裂を回避するため、2006年6月末までに、新たな協議を開始すべきとしている。
経済・通商政策上の案件に関しては、その他に、模造品の取締りや知的所有権の保護に関する双方の協力体制を強化することや、資金の移動をより自由化することで合意された。また、昨今のエネルギー資源の高騰を踏まえ、EU・アメリカ間の協力を強化し、供給をある特定の国に頼り過ぎないようにすることが確認された(参照)。
首脳会談の重点は外交政策上の案件におかれたが、双方が示す提案の受け入れをイラン政府に改めて求めることになった。EU理事会議長国オーストリアが強い懸念を示していたイラク戦争捕虜の扱いについて、Bush
大統領は、グアンタナモの収容所を閉鎖する意向を示し(その時期は特定しなかった)、欧米間の関係悪化を回避した。
半年間にわたるEU理事会議長国期間の最終章を飾る Bush 大統領の訪問は、オーストリア内外で注目され、メディアの報道も活発に行われたが、2005年2月の訪欧 に比べると、重要性に欠ける政治的対話に終わった。
|