アルメニアによれば、1915〜1923年間、150万のアルメニア人がオスマン・トルコ帝国の命令によって虐殺されたとされる。国内に30万人のアルメニア人が居住するフランスは、かねてよりトルコの責任を追求しているが、2004年12月13日、フランスの
Michel Barnier 外相は、EU加盟交渉過程において、再びこの問題を取り上げる用意があることを明らかにした。なお、フランス国内のメディアは、問題の解決が新たな加盟要件
として加えられると報じたが、14日、外相は、加盟要件を新たに設けることは法的に不可能であるとして、これを否定した。
フランス政府は、トルコのような大国は過去の過ちを認め、謝罪すべきであるとしているが、トルコ政府は大量虐殺の事実を否認している。また、大量殺戮への言及は、国家を侮辱することにあたるとし、トルコは、2005年6月に刑罰を導入しているが(詳しくは こちら)、表現の自由を侵害するものとして厳しく批判されている(参照)。他方、フランス国会は、2006年10月、大量虐殺の存在を否認した者に対する刑事罰の導入について審議している(詳しくは こちら)。トルコ政府は経済制裁も辞さないとし、強く抗議する一方で(参照)、歴史問題を審議させるために委員会を発足し、その見解に従う姿勢もみせている。いずれにせよ、歴史問題の解決は容易ではないと解される(参照)。
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