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トルコ国旗 トルコのEU加盟問題
 EUの旗

トルコのEU加盟問題


 第3国がEUに加盟するための要件は、EU条約第49条と「コペンハーゲン基準」で定められているが
(詳しくは こちら、2004年10月、欧州委員会は、トルコはこれら の条件を満たしている(ないし、満たす見込みがある)と判断した(詳しくは こちら。しかし、それゆえにEU加盟が自動的に実現してはならず、新たな要件の導入について検討すべきではないかという問題が提起されている。

 現在、EU理事会議長国を務めるオランダは、
キプロス共和国の承認 という要件の追加を提案している(なお、ベルギーはこれに反対しているとされる参照)。また、労働者の移動の自由(労働市場の統合)を長期にわたって制限することを新たな要件として導入することを提案している(詳しくは こちら

 さらに、アイルランド、フランス、オーストリアは、トルコとの加盟交渉には、従来とは異なる特別の手続を用いるべきであるとしている。特に、現在、加盟交渉の開始が検討されている、クロアチア と同じように扱うべきではないとされている。これに対し、差別的取扱いを問題視する立場もある。


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 2005年10月3・4日、EU加盟国外相会議(EU理事会)は、新たに、EUの受容力を要件に加えた(参照@AB)。


(参照)  Der Standard v. 2. Dezember 2004 (EU-“Bremser”-Achse Paris-Wien will Sonderweg für Türkei)

トルコのEU加盟問題 

トルコのEU加盟に関する新要件

キプロス承認の要件について @AB






アルメニア人大量殺戮事件


 アルメニアによれば、1915〜1923年間、150万のアルメニア人がオスマン・トルコ帝国の命令によって虐殺されたとされる。国内に30万人のアルメニア人が居住するフランスは、かねてよりトルコの責任を追求しているが、2004年12月13日、フランスの Michel Barnier 外相は、EU加盟交渉過程において、再びこの問題を取り上げる用意があることを明らかにした。なお、フランス国内のメディアは、問題の解決が新たな加盟要件 として加えられると報じたが、14日、外相は、加盟要件を新たに設けることは法的に不可能であるとして、これを否定した。


 フランス政府は、トルコのような大国は過去の過ちを認め、謝罪すべきであるとしているが、トルコ政府は大量虐殺の事実を否認している。また、大量殺戮への言及は、国家を侮辱することにあたるとし、トルコは、2005年6月に刑罰を導入しているが(詳しくは こちら)、表現の自由を侵害するものとして厳しく批判されている(参照)。他方、フランス国会は、2006年10月、大量虐殺の存在を否認した者に対する刑事罰の導入について審議している(詳しくは こちら)。トルコ政府は経済制裁も辞さないとし、強く抗議する一方で(参照)、歴史問題を審議させるために委員会を発足し、その見解に従う姿勢もみせている。いずれにせよ、歴史問題の解決は容易ではないと解される(参照)。




(参照)  Der Standard v. 14. Dezember 2004 (Frankreich will EU-Beitritt der Türkei nicht Armenienfrage scheitern lassen)

Der Standard v. 31. October 2006 ("Reformmomentum hat nachgelassen")


アルメニア人大量殺戮事件

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フランスの刑罰導入にトルコ反発





(2004年12月3日 記  2005年11月1日更新)