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EUの旗 トルコのEU加盟問題

Rehn委員、加盟交渉1周年に際し、トルコを批判
トルコ国旗


 2006年10月、トルコとのEU加盟交渉が開始されてから1年が経過したが(参照)、 初めての記念日に際し、欧州委員会の Rehn 委員(EU拡大担当)は、トルコの制度改革が緩慢になっていること を厳しく指摘した。批判の矛先は、従来通り、トルコがキプロスからの船舶や航空機の乗り入れを禁止していることや(入港を認める条件として、EUが北キプロスの港湾を警備するというフィンランドの提案はトルコによって却下された〔参照〕)、少数民族の文化的権利や宗教上の自由が制約されていること(参照)、また、軍部の政治への介入に向けられている。 



リストマーク 国家侮辱罪の導入

 さらに、トルコ国家侮辱罪について定める刑法第301条は、表現の自由を制約しかねないとし、改正を要求している。Rehn 委員によれば、トルコを批判した容疑で、すでに70人に対し刑事手続が開始されているとされる。この点について、トルコの Yakis 元外相は、刑法第301条に基づく処罰は例外的にしか実施されないと反論しているが(参照)、表現の自由を民主的基本理念の一つとして尊重するEU内からは、規定の削除そのものを求める声も強い。なお、この規定は、トルコ刑法をEUの権利保護基準に合致させるために行われた一連の刑法改正(参照)の中で導入された。なお、Rehn 委員は、依然としてトルコのEU加盟に批判的なEUの政治家をも同時に批判している(参照)。


 トルコの制度改革の緩みは、2006年9月27日、欧州議会によっても指摘されているが(参照)、欧州委員会は、11月8日に報告書を公表する予定である。


 

リストマーク キプロス出身欧州議員の入国拒否問題

 なお、近時、EU・トルコ間には、トルコがキプロス出身の欧州議員の入国を拒んだため、新たな問題も生じている(同議員は、トルコの環境問題について実地検査する欧州議会の調査団に含まれていた)(参照)。



(参照)   FAZ v. 5. Oktober 2006 (EU ermahnt die Türkei)

Die Presse v. 5. September 2006 (Türkei muss Zug-Crash vermeiden)

Der Standard v. 4. October 2006 (ÖVP-Delegationsleiter erbost über "türkischen Affront")


トルコのEU加盟問題 

欧州議会、加盟準備の遅れを批判



(2006年10月5日 記)