トルコの独立について定める ローザンヌ条約(1923年制定)第39条第1項では、トルコ国民や国内居住者は、宗教上の理由により、差別されないと謳われている。しかし、実際には、この規定は守られていないとされる。EU加盟交渉過程では、特に、キリスト教の活動が制限されていること(聖職者の滞在やセミナーの開催が規制されていること)が問題視されている。また、キリスト教の教会には、建築の自由や所有権も保障されていない他、納税義務が(完全に)免除されていない。なお、教会に法人格は与えられないため、「教会」として登録することはできないとされる。EUの圧力を受け、トルコ政府は宗教上の差別を撤廃する姿勢を見せているとされるが、具体的な改善策は講じられていないとの声も聞かれる。そのため、カトリック教会は、トルコとの加盟交渉の開始には賛成するが、その開始日は特定せず、あらゆる問題が解決された後に初めて開始すべきであるとしている。
なお、トルコでは、99%の市民がイスラム教を信仰しているが、キリスト教徒も10〜15万人いるとされている。トルコ国民であれ、イスラム教徒以外の者は、「外国人」として差別されるが、イスラム教も国によって規制されている。そのため、宗教の自由そのものに対する制約を批判する声もある。
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