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欧州委員会 2009年までのEU戦略目標(案)を提示

 2005年1月26日、Barroso 欧州委員会委員長 は、 自らの任期が継続する2009年までのEU戦略目標を提案し、すべてのEU市民に豊かさ、連帯と安全性を保障するため、EUの諸機関が共同で目標を定め、一丸となって取り組むことの重要性を訴えた。

 欧州議会(ブリュッセル)で行われた演説において、Barroso 委員長は、EU市民の期待に応えるには、優先事項を明確に定めるべきであると述べた。また、域内市場の設立(1985年)、ユーロの導入、また、東方拡大 の際に見られたように、断固とした取り組みが必要であること、目標の実現には指導的役割を務める者が不可欠であること、さらに、EU諸機関と加盟国が共同で取り組むことの重要性を強調した。

Barroso 欧州委員長

Barroso 委員長

写真提供
Audiovisual Library European Commission



 Barroso 委員長によって提示された戦略案(これは、欧州委員会欧州議会EU理事会 の共同戦略に対する提案である)、@豊かさ、A連帯、また、B安全の3本柱からなっているが、その概要は以下の通りである。


@ 豊かさ

 EU市民の生活を豊かにするため、持続的かつダイナミックな経済成長を達成すると共に、リスボン戦略 に基づき、雇用率を改善することが最重要課題として挙げられている。過去10年間、EU内の経済成長や生産性は、米国やアジア諸国よりも低下しており、このような状況を改善するため、以下のプログラムを実施する。

企業環境の整備
 
 企業の設立やEU全域にわたる活動を容易にするだけではなく、知的所有権の保護、公平な法人税の導入、また、貿易の促進が必要とされる。

投資の奨励

 研究への投資をGDPの3%に押し上げ、高度な教育への投資を奨励する。また、運輸、テレコミュニケーション、エネルギーといった比較的弱い産業分野においては、政策を刷新する。

雇用の創出、労働の奨励



A 連帯性 
 
 連帯性、環境保護、社会的正義の実現を維持・強化し、また、拡大EU の結束力を強化するため、地域間の経済格差を是正することが特に重要となる参照。さらに、基本権の保護差別の禁止 に断固として取り組む。
 


B 安全性

 ハーグ・プログラム(2004年)にのっとり、環境問題や健康問題に取り組むと共に、早期警戒システムや災害への迅速な対応参照、また、長期的な危機管理制度を整備・構築する。

 


リストマーク 外交政策上の課題

 その他、将来のEU拡大 の準備に積極的に取り組むこと、国際貿易の自由化(WTOの ドーハ開発アジェンダ に関する協議だけではなく、中国、インド、ブラジル、南米、アフリカ諸国との二国間ないし地域協議を促進する) 、中東和平実現への貢献、ロシアやウクライナとの関係強化を柱とした 欧州近隣政策 の実施、さらに、発展途上政策 について触れられている。


  (参照) 欧州委員会の公式サイト

(2005年1月27日 記)