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ブルガリアとルーマニアのEU加盟 完 全 な 統 合 は 先 送 り |
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2007年1月1日、ブルガリアとルーマニアのEU加盟が実現した。冷戦崩壊後、両国は「ヨーロッパへの回帰」をスローガンに掲げ、EU加盟を目指すことになるが、近隣の旧共産主義国のように、2004年5月に加盟することはできなかった。加盟要件の充足が厳密に審査されていたならば、目標の達成は再び先送りされていたと解されるが(参照)、行政・司法制度改革や汚職対策の遅れに基づき、完全な統合は先送りされることになった(参照)。また、EC(EU)法上の原則の一つである 労働者の移動の自由 や サービス提供の自由 にも例外が設けられる(参照)。さらに、ブルガリアの航空機は、EUの安全基準や航空市場に関する規則に違反する可能性が高いため、EU域内市場(航空市場)への完全な統合が当面、認められない(ブルガリアの航空行政当局が与えた安全証明書は他の加盟国によって自動的に承認されず、また、ブルガリアの航空機はEU内を自由に飛行しうるわけではない)(参照)。 このような状況や、ブルガリアとルーマニアの経済力が全加盟国の中で最下位にあることに鑑み、ドイツの最有力紙 Frankfurter Allgemeine は、両国民を「二流のEU市民」(EU-Bürger zweiter Klasse)とも評しているが、メディアがトップ記事扱いで報道するのとは対照的に、従来のEU市民は、南東欧諸国の加盟に強い関心を寄せていない。これは加盟が1月1日という祝日に重なったことにも影響していようが、欧州統合一般に対する関心の薄さにも基づいていよう。 なお、EU拡大は必ずしも民意を反映しているわけではない。ドイツ国民の56%はブルガリアの加盟に反対し、ルーマニアに関しては64%にも達するとされている(参照)。これは、両国内に依然として蔓延するとされる汚職や経済力の弱さなどに基づいていると解されるが、諸制度の改革だけではなく、イメージの向上が両国の重要な課題となる。
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(参照) |
FAZ v. 1. Januar 2007 (Rumänien und Bulgarien treten EU bei: Hier spricht man deutsch) Die Presse v. 22.
December 2006 (Arbeitsmarkt:
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(2007年1月1日 記 1月 5日 更新) |