拡 大 E U の 中 心 地
Kleinmaischeid
(クラインマイシャイト) |
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2004年5月1日、EUの東方拡大が実現し、超国家組織は25か国体制に発展したが、フランスの地学研究所 (Institut Geographique National)に調査によれば、拡大EU の中心地は、ドイツ南西部の Kleinmaischeid (クラインマイシャイト)にあるとされる。地名をあえて和訳すると、「小さなマイシャイト」となるが、その名が的確に語っているように、 Kleinmaischeid
は、人口1300人、面積669ヘクタールの小さな村である。このラインラント・プファルツ州の片田舎には、古い教会、ガソリン・スタンド、理髪店、また、金融機関のATMは、それぞれ一つずつしかなく、かつては4件あった飲食店も、現在は2件が残るのみである。
ちなみに、この村の隣には、「大きなマイシャイト」と呼ばれる Großmaischeid (グロースマイシャイト )があり、通常、教会のミサは、この大きな村で行われている。いろいろな点において、この隣村の方が重要とされるが、フランスの研究所は、あえて質素な村落を拡大EUの中心と発表したことになる。
Kleinmaischeid の言い伝え
前述したように、ミサは、通常、「大きい村」の教会で行われるが、牧師は時折「小さな村」にも足を運ばなければならない。約300〜400年前のことであるが、この移動中、司祭と侍者の少年2人は雷に打たれ死亡したという伝説が当地には残っている。「大きい村」に接した村の入り口には、現在も3本の十字架が立てられているが、これは天災の被害者を弔ったものと考えられている。
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Kleinmaischeid は、ライン川流域の森林地帯 Westerwald (ヴェスターヴァルト)に属し、村の面積の半分は森林である。そのため、ドイツ人の行楽には欠かせないハイキングに適した地域と言えるが、高速道路の騒音に悩まされることもあるという。また、大都市フランクフルトとケルン・デュッセルドルフを結ぶ鉄道網も整備されているが、小さな村だけに、高速列車
ICE は停車しない。そのため、幹線建設の「被害者」になっているが、他方、賠償もなされているという。なお、近隣都市のベットタウンとして、特に、若い家族が移り住むようになっており、人口は増加傾向にある(1989年の930人から現在は1300人を超えるまでになっている)。
ドイツ南西部の小村は、EUの新しい中心地として注目されるようになり、ドイツ連邦大統領や、従来のEUの中心地
Viroinval (ベルギー)からも要人が訪れる予定があるというが、多くの観光客を呼び寄せることができるかどうかは疑問である。冷静な
Horst Rassbach 村長(SPD) は、確かにうれしいニュースだが、だからといって、2メートルも飛び上がることはないねと語っている。
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