従来の3本柱構造 は、もはや維持されず、第3の柱 は第1の柱に組み込まれる(政策のEC化)。これらは共に、「EUの機能に関する条約」の中で規定されるが、第2の柱 については、従来どおり、EU条約で定められる(新EU条約第5編)。なお、共通外交・安全保障政策は、外交政策に関する加盟国の既存の権限や政策に影響を与えない旨が明記された(第13・第14宣言参照)。
従来どおり、EUは、加盟国から与えられた権限のみを行使しうる(個別的授権の原則、第24宣言参照)。
EUの権限や加盟国との権限配分に関し、欧州憲法条約は初めて詳細な規定を設けていたが(第I-13条以下)、リスボン条約に継承されている(新EU条約第3条〜第6条)。その詳細は以下の通りである。
(1) EUの排他的権限
以下の政策分野では、加盟国よりEUに権限が完全に委譲されており、EUが排他的に権限を持つ(第3条第1項)。
その他、EU内の政策の実施に必要であったり、または、EU法に支障を及ぼすとき、EUは国際条約を締結しうるが、この条約締結権限はEUにのみ与えられる第3条第2項)。
(2)EUと加盟国の双方が有する権限
例えば、以下の政策分野において、EUは加盟国と権限を共有する(第4条第2項)。EUと加盟国が共に権限を持つこの形態が原則的である。
研究、技術開発や宇宙航空の分野において、EUは、特に、プログラムを策定し、実施することができる。もっとも、加盟国の権限行使を阻害してはならない(第4条第3項)。
また、発展援助 や人道支援に関し、EUは何らかの措置を講じたり、共通の政策を実施することができる。もっとも、加盟国の権限行使を阻害してはならない(第4条第4項)。
さらに、以下の分野において、EUは加盟国の政策を支援、調整、または補充することができる(第6条)。
(参照) かつての権限配分は こちら
なお、新EU条約第4条第2項 は、EUは加盟国を平等に扱い、また、加盟国の独自性や政治・憲法上の制度を尊重しなければならない。また、第3項は、EUと加盟国は互いに協力し、憲法が定める目標・課題の達成に努めなければならないと定める(EUと加盟国の相互協力義務)。なお、これらの規定は、欧州憲法条約第I-5条を踏襲している。
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