序
EU内では市民の自由な移動が保障されているが(参照)、ある地域では法律が守られず、治安も悪いとすれば、そこへの移動は実質的に不可能に等しい。そのため、法の遵守や安全の確保を目的とする司法・内務政策が必要になる(EU条約第3条第2項参照)。
EUの司法・内務政策は、いわゆる「第3の柱」の政策として開始されたが、アムステルダム条約によって、その一部は「第1の柱」に移された(詳しくは こちら)。欧州憲法条約は、残りの案件も編入し、2つの柱を完全に統合しているが、リスボン条約もこれに従っている。つまり、「刑事に関する警察・司法協力」は「第1の柱」に移された。また、従来の「ビザ、庇護、移民その他の人の移動に関する政策」(EC条約第3部第4編)と合わせ、EUの司法・内務政策は、「自由、安全および正義の空間」(Area of freedom, security and justice)と呼ばれることになった(EUの機能に関する条約第3部第5編)。
|