3. 民事に関する司法協力
域内市場では人や商品・サービスの移動の自由が保障されているが(くわしくは こちら)、ある加盟国における私法上の権利が他の加盟国では行使・承認されないとすると、移動の自由は害される。そのため、従来より、ECには、複数の加盟国に関わる民事事件(渉外事件)について、加盟国間の司法協力を改善・簡素化する権限が与えられていた(EC条約第65条第a号、その他の権限について、第b号および第c号参照)。この点に関し、これまで特に重視されてきたのは、裁判所や裁判外の紛争解決機関の判断の承認・執行制度を整備することであった。EUの機能に関する条約第81条第1項第1文もこれを承継し、渉外的民事事件に関する司法協力は、裁判所や裁判外の判断の相互承認・執行を原則にすると定める。
また、新条約は、EUの新しい権原として、以下の案件の確保を挙げている。
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