南欧では喫煙率が高いという傾向が見られますが、とりわけギリシアの喫煙率は高く、毎日、煙草を吸う人の割合は35%に達しています(参照)。実際の喫煙者は、それよりも多く、男性の約半数、また、女性の約4割は喫煙者とされることもあります。
その理由として、禁煙政策導入の遅れや政策の不徹底さを挙げることができるでしょう。つまり、禁煙政策が導入されたのは、他のEU加盟国よりも遅い2009年7月ですが、当時は床面積75平米未満の飲食店には例外が認められていました。また、2010年以降、ギリシャの財政は破綻していたこともあり(それを原因とするユーロ危機についてはこちら)、禁煙化は徹底されませんでした。むしろ、行き詰まった国家財政をたばこ税で賄うため、政府は本来は禁止されている場所での喫煙を容認していると捉えることができます(参照)。
2010年9月からは、公的施設、病院、オフィスや飲食店での喫煙は全面的に禁止されるようになりましたが、同様に徹底されていません。「禁煙」の貼紙をよそに、喫茶店やバーで煙草をふかす客がいても、店主から注意されることは、まずありません。そのため、ギリシャは「愛煙家にとって最後の楽園」と呼ばれることもあるほどです(参照)。