2017年3月に公表されたEUの資料によると、EU加盟28ヶ国中、最も喫煙率が高いのはブルガリアで、実に3人に1人が毎日、煙草を吸っています。隣国ギリシアでも同様に喫煙率が高く、「喫煙率が高い南欧」というイメージを醸成しています。
喫煙率が高い理由の一つとして、政策導入の遅れが挙げられるでしょう。旧東側陣営に属していたブルガリアがEU加盟という目標を達成したのは、冷戦終結から約20年が経過しようとしている2008年元旦ですが(それに対し、他の多くの東欧諸国は2004年5月にEU加盟を実現しています。詳しくはこちら)、その時点では、まだ反喫煙法は制定されていませんでした。つまり、あらゆる公的施設の建物内やレストラン・バーで煙草を吸うことを禁止する国内法が制定されたのは、2009年5月、また、同法が施行されたのは2010年6月です。しかし、次の政権によって、敷地面積が100平米未満のレストランやバーでの喫煙は許されるようになりました。もっとも、その2年後にまた法改正がなされ、2012年6月以降は、レストラン、バー、ディスコでの喫煙は完全に禁止されることになりました。なお、この全面禁煙化政策は、またしても政権交代によって見直しを余儀なくされましたが、2013年12月、ブルガリア議会は全面禁煙化を維持する決定を下しています(参照)。