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スロベニア国旗 2008年 上半期 EU理事会議長国

ス ロ ベ ニ ア
 


 2008年上半期は、スロベニアがEU理事会議長国を務める。人口わずか200万強の同国がEUに加盟したのは、2004年5月のことであるが(参照)、同時に加盟した10ヶ国中、最も早く議長国の大任を引き受ける。また、経済制度もEU体制に最もよく溶け込んでおり、いち早くユーロを導入している(2007年1月(参照))。

 議長国の任務は小国にとって大きな負担となる一方で、対外的に自国をアピールするよい機会となるが、スロベニア政府は、半年間の主要政策課題として、以下の5項目を挙げている。


1. リスボン条約の発効

 2007年12月13日、リスボン条約が全てのEU加盟国によって締結された(参照)。EUの機構改革を柱とする同条約は、2008年末までの発効が目標に掲げられているが、その実現がスロベニア議長国期間の最重要課題の一つとなっている。なお、各国による批准を促すため、スロベニア政府は、2008年初頭には批准手続を完了させる予定である。




理事会議長国
の順番


ポルトガル国旗
ポルトガル
(2007年下半期)
矢印
スロベニア国旗
スロベニア
(2008年上半期)
矢印
フランス国旗
フランス
(2008年下半期)



2. リスボン戦略の新サイクル(2008〜2010年)の立ち上げ

 毎年3月の欧州理事会では、経済問題について協議される。2000年3月に「リスボン戦略」が採択されてからは、定期的にその実施について審議されてきたが、スロベニア政府は、特に、以下の4分野に焦点を当て、戦略の実施強化を図る。

 - 研究・開発への投資

 - 企業競争環境の発展

 - 労働市場の見直しと人口構造変化(少子高齢化)への対応

 - 気候変化を考慮に入れたエネルギー政策



3. 気候変化と新しいエネルギー政策

 2007年3月、欧州理事会は、気候変化を考慮したエネルギー政策の見直しを決定している。これを受け、欧州委員会は 2008年1月末に "climate-energy package" を発表し、EU内の議論を開始させる予定であるが(詳しくは こちら)、スロベニアは、2008年ないし2009年初めの協議成立を目標に掲げ、加盟国間の交渉を主導する。なお、スロベニア政府は、二酸化炭素排出量を削減する観点から、原子力発電の利用に積極的な姿勢を見せている。



4. EUのバルカン半島政策の強化

 旧ユーゴスラビアの安定化は、ヨーロッパ内の外交・安全保障政策の重要課題の一つである。特に、コソボの将来的地位の決定については、EUにも重大な使命が課されているが、1991年6月に旧ユーゴから独立したスロベニアにとっては、極めて肝要な案件となっている。地域の安全保障や発展を実現するには、諸国のEU加盟が重要とされているが(参照)、スロベニア政府はそれを積極的に支持している。また、従来のEU加盟基準が変更されてはならないと訴えている。

      リストマーク EUのコソボ独立支援については こちら



5. 異文化交流の促進

 27ヶ国体制に発展したEU内には、多くの文化が共存しているが、その対話を促進するため、2008年は、異文化間対話年(European Year of Intercultural Dialogue)に指定されている(詳しくは こちら)。スロベニアは、プログラムの実施や告知に尽力する他、特に、西バルカン半島の異文化の対話を強化する。

      リストマーク 異文化間対話年2008に関するEUの公式サイト 





区切り線




Link 議長国の公式サイト(英語)



2008年6月の欧州理事会決議 New

 リスボン条約の批准 New




 (写真)2007年元旦のスロベニア・ユーロ導入記念式典  

 写真提供 © European Community