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欧 州 委 員 会、ス ロ ベ ニ ア の ユ ー ロ 導 入 を 支 持

スロベニア国旗 2006年5月16日、欧州委員会は、スロベニアは すべてのユーロ導入要件 を満たしているため、2007年元旦に単一通貨を導入しうると決定した(参照)。これに対し、欧州中央銀行は慎重な態度を見せており、最終判断を控えている。ユーロの導入について、欧州中央銀行は決定権を持っておらず、欧州委員会の提案を受け、EU理事会(ECOFIN-Council)が 特定多数決 にて決定する。なお、この決定に先立ち、EU理事会は、欧州議会の意見を聴取し(理事会はこれに拘束されない)、また、加盟国首脳で構成されるEU理事会 と協議しなければならない(EC条約第122条第2項)。委員会の提案について、理事会(ECOFIN-Council)は6月に協議し、同じく6月に開催される欧州理事会(加盟国首脳会議)に報告する予定である。旧ユーゴスラビアの単一通貨導入が正式決定されれば、ユーロ圏は13ヶ国に拡大する(現在のユーロ圏)。


 
欧州委員会の提案 欧州議会の拘束力の
ない意見

加盟国首脳で構成されるEU理事会との協議
EU理事会
(ECOFIN-Council)
の決定


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2006年6月16日、加盟国首脳と欧州委員会委員長で構成される欧州理事会は、スロベニアのユーロ導入(2007年元旦)を了承した。最終的な決定は、EU理事会(ECOFIN-Council)によって下される。


(参照) EU理事会のプレスリリース (PDF File)

FAZ v. 16. Juni 2006 (Slowenien darf den Euro einführen)



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2006年7月11日、EU理事会(ECOFIN-Councilは、スロベニアのユーロ導入(2007年元旦)を正式に決定した。また、欧州委員会の提案に従い、同国の通貨 tolar (トラル)と欧州単一通貨との交換比率は 239,64 対 1 と定められた。これは従来の指標価値に相当する。

    239,640 トラル = 1 ユーロ


(参照) EU理事会のプレスリリース (PDF File)
EU理事会規則 No. 1086/2006



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ユーロ  2007年1月1日、スロベニアのユーロ導入が実現した。これにより、ユーロ圏は13ヶ国(人口は3億1660万)に拡大した(その他の導入国は こちら)。

 導入日の1月1日と翌2日は祝日であるため、通常の流通が始まるのは3日以降となるが、大きな問題は生じないと目されている。なお、従来の通貨トラルは、1月14日まで法定の公式通貨として認められる(参照)。

 トラルとユーロの交換比率は239,64対1である。つまり、239,64 トラル = 1 ユーロとなる。例えば、スロベニアのスーパーでも売られている瓶詰めの梅干しは、2980.00 トラル = 12.44 ユーロである。このように、商品棚には両通過での値段が明記されているが、ユーロに換算すると大幅に値下がりしたかのように感じられるため、消費者保護団体は注意を呼びかけている。なお、ドイツを初めとする従来のユーロ導入国では、新通過への切り替え後に値段が高騰したと批判されている。スロベニアでは、すでに2004年5月のEU加盟の時点で物価上昇の現象が表れているが、ユーロ導入をきっかけに、地方公共団体は駐車料を50%引き上げている。

 スロベニアがトラルを導入したのは15年前であり、バルカン半島独立のシンボルとして支持されてきたが、ユーロは「ヨーロッパ」への帰属性を象徴するものとして歓迎されている。

 現在、年間4%の経済成長率を記録するスロベニアは、ユーロの導入だけではなく、EU理事会議長国の役割も、2004年5月にEUに加盟した 10ヶ国 の中で先陣をきって引き受ける(議長国期間は2007年上半期〔参照〕)。加盟から約2年半ないし約3年半という短期間のうちに、EU内での比重を増すことになるが、経済的発展を成し遂げた今後は、労働市場の自由化 に向け、従来の加盟国に働きかけていくと解される。


 (参照) ZDF heute in Europa v. 29. Dezember 2006

写真提供 © European Community




欧 州 委 員 会、リ ト ア ニ ア の ユ ー ロ 導 入 を 先 送 り


 5月16日の委員会決定は、スロベニアの申請(3月2日)を受けてなされたものである。リトアニアも申請を行っているが(3月16日)、2005年4月以降のインフレを考慮すると、1つ目の ユーロ導入要件 が満たされないとし、委員会は単一通貨導入の可能性を否定している。オーストリアの日刊紙 Der Standard によれば、リトアニアの Algirdas Brazauskaus 首相は、このような決定に同意せず、6月15・16日の欧州理事会で委員会案を批判するものとみられている(参照)。


 ユーロ導入要件 によれば、現在、インフレ率は2.6%に抑えなければならないが、リトアニアのインフレ率は2.7%と、これをわずかに上回っている。リトアニアの経済専門家 Remigijus Šimašius氏は、ユーロ導入要件 が設けられている以上、それを守る必要はあるが、政府債務残高や財政赤字が最も少ない国の一つのユーロ導入を認めないのは理不尽であるとしている。また、リトアニアの状況は、現在のユーロ導入国よりも優れているとされる(参照)。


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2006年6月16日、加盟国首脳で構成されるEU理事会は、リトアニアの高いインフレ率を考慮すると、同国は、2007年1月1日の時点において、ユーロ導入をしえないと決定した。

 (参照) EU理事会のプレスリリース (PDF File)





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(参照) 欧州委員会のプレス・リリース

Der Standard v. 17. Mai 2006 (EU-Kommission empfiehlt: Slowenien ab 2007 Euro-Land)

Der Standard v. 16. Mai 2006 ("Austreten wollen wir deswegen noch lange nicht")

 


スロベニア、2007年元旦導入の可能性高まる



(2006年5月17日 記  2007年1月7日 更新)