ヨーロッパの27ヶ国からなるEUにおいて、異文化との触れ合いは、何も特別なことではない。 「他者」との接触が不要であったり、「他者」も同じであれば、欧州統合の必要性もなくなる。異なる文化の多様性を尊重しながら、EU統合は進められているが、異文化は差別を生むのも事実である。それより生じる問題を克服するため、EUは、2007年を
"European Year of Equal Opportunities for All" に指定し、人種、宗教、価値観、年齢、性別などに基づくあらゆる差別の撲滅に取り組んできた(EC法上の大原則としての差別禁止については
こちら) 。2008年は、これを補完し、「他者の受入れ」や「異なる文化との触れ合い」を奨励するため、"European Year of intercultural
Dialogue" に指定されている。その法的根拠は、EC条約第151条(文化政策)に基づき、EU理事会と欧州議会が共同で制定した決定(Decision 1983/2006/EC)である。
27のEU加盟国や地域にとって、異文化間対話とは、宗教間の対話であったり、少数民族との統合ないし移民政策の発展であったりするが、期間中は、さまざまな観点からのイベントが行われる(参照)。特に、青少年の異文化体験が重視されており、複数の加盟国・地域による教育プログラムが多数企画されている。
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