3.法的基盤
EEA協定(EEA Agreement)は、1992年5月2日、@ 当時のEFTA加盟6ヶ国、A EEC、ECSC(欧州石炭・鉄鋼共同体)、また、B 当時のEEC・ECSC加盟12ヶ国によって締結された(OJ
1994 No. L 1, 3)。
EFTAには対外的権限はないため、その加盟国が協定を締結している。スイスもこれに加わっているが、1992年12月6日に行われた国民投票で批准が否決されたため、EEAには参加していない(詳しくは
こちら)。
EEC・ECSCだけではなく、その加盟国(B)も締結しているのは、EEAがいわゆる 混合協定 にあたるためである。
E(E)C法上、EEA協定は、一種の 連合協定 にあたる(EC条約第310条参照)。1992年5月2日に締結されたEEA協定は、独自の司法機関の設置について定め、EC法の独自性を損ねる恐れがあった。そのため、EC裁判所は、同協定の締結を容認しなかった(Opinion
1/91 EEA [1991] ECR I-6079, paras. 69 and 72)。これを踏まえ、新たに議定書(Protokol of
March 17, 1993)が作成されている。その後、再び、EC裁判所に問題が提起されているが、同裁判所は、EEA独自の裁判所は設立されなくなったこと、また、EC法体系の独自性が保障されることを確認した上で、EEA協定の締結を許可した(Opinion 1/92 EEA [1992] ECR I-2821)。その後、協定は、全締約国の批准を経て、1994年1月1日に発効した(なお、リヒテンシュタインについては、例外的に、1995年5月1日に発効している)。
EEA協定は、全第129条からなるが、22の附属書(Annexes) と 49の議定書(Protocols) が付けられている。附属書は、EEAでも適用されるEC法の総体系(“Acquis communautaire” ) について定めている。他方、議定書は、原産地規則、経過規定、財政について定めているが、一般に、これらはEC法に基づいていない。
EEA Joint Committee の決定に基づき、毎月、多くの法令がEEA協定内に取り込まれるが、第1次法である協定に対し、新たに制定された法令を第2次法とよぶ。
1992年5月2日には、Surveillance Authority と Court of Justice を設立するための協定も締結されている(参照)。
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