欧州統合史上、2004年上半期は最も充実した期間の一つとなったが（参照）、外交手腕が高く評価されたアイルランドよりオランダに議長国の座が引き継がれた。Jan Peter Balkenende 首相が主導する下半期にも重要案件が並んでいるが、当面の主要政治テーマは、欧州議会による 欧州委員長候補 の審問と考えられる。7月22日、委員長候補が欧州議会によって承認されないことがあれば （参照）、EU理事会議長国は苦難に立たされることになる（欧州議会による審問手続については こちら）。

　11月には、新欧州委員会が発足するだけではなく、EU理事会の立法手続も変更されるが（参照）、さらに、欧州憲法条約 の制定が予定されている。これまで、オランダでは、マーストリヒト条約 や アムステルダム条約 といった基本諸条約が制定されいるが、欧州憲法条約は、イタリア（ローマ）で制定される。

　下半期の最大の問題は、トルコとのEU加盟交渉を開始するかどうか決定することにあろう。今秋の欧州委員会による提案を受け、EU理事会は、年末までに判断を下すものとされる（詳細は こちら）。さらに、2007年〜2013年間のEU予算計画も立てなければならない（詳細は こちら）。

              （参照）　欧州委員会の公式サイト

　現オランダ政府は欧州統合推進派として知られているが、アメリカとも良好な関係を築いており、両大陸の関係修復にどの程度、貢献しうるかも注目される。
　

（参照）	Die Welt （独語）
	在日オランダ大使館

　　　オランダEU理事会議長国のホームページ　（英語）