[背景]
約1週間前の欧州議会選挙で、保守派が勝利を収めたことを受け、新委員長は保守派より選出する動きが強まっているが、2004年6月17日〜18日の欧州理事会において、各国の保守系政党は有力な候補者を擁立することができなかった(参照)。 欧州議会選挙の結果を考慮した人選は、現行法上、根拠があるわけではないが、同日に採択された欧州憲法(条約)草案は、その旨を謳っているため、その正当性はすでに広く認められていると解してよい
(詳細は こちら)。
さらに、共通外交・安全保障政策の上級代表はスペインの
Solana 氏(継続)、また、経済問題担当の欧州委員には、EU拡大を成功させたドイツの
Verheugen 委員(現在、EU拡大担当)が内定しており、両者は社民党系の政治家であるため、欧州委員長まで左派であることは絶対に避けるべきとの意見が強力に主張されている。
6月17日〜18日の欧州理事会では、仏独と、英の対立も表面化した。特に、フランスの
Chirac 大統領は、欧州統合に中腰な国から欧州委員長を任命するわけにはいかないとし、カメラの回っている前で、あからさまに、Blair
首相の推す Patten 氏(現欧州委員)の委員長就任を批判した。なお、同氏は保守派に属していたため、欧州議会の同意は得られたと解される。他方、仏独は、社会党系のベルギー首相を候補に推していた。
その後、スペインの Solana 氏の名前も浮上し、加盟国政府から依頼されれば断るわけにはいかないと、彼自身も乗り気を見せていたが、その後、スペイン外相は、彼は共通外交・安全保障政策の上級代表に内定しているとの声明が出され(前述参照)、Solana
委員長案も消えた。
|