欧州統合市場、最大規模の拡大を約2週間後に控えた4月18日、スイスの新聞
Neue Zürcher Zeitung に、Verheugen 欧州委員のインタビューが掲載された。ドイツ出身の同委員は、欧州委員会において、EU拡大問題を担当しているが、次のように語っている。 |

Verheugen 欧州委員
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加盟交渉過程について
東方拡大は必ず、いつか成功するものと考えていたが、10カ国の同時加盟は、ちょっとした驚きである。なぜなら、加盟交渉が終了する2ヵ月前まで、EUの機構改革の基礎が築かれていなかったためである(アイルランドはニース条約をまだ批准していなかった)。また、新加盟国の財政的支援計画も直前になってようやくまとまった。
拡大EUについて
EU拡大は、EUの権限の拡大を意味するものではなく、不必要なまでに、加盟国やEU市民を規制すべきではない。他方、外交・安全保障政策など、さらなる発展が必要とされる分野もある。加盟の理由として、農業政策の存在を挙げる国もあろうが、同政策の合理化も不可欠である。
東西の違いが認識されなくなるのは、まだまだ先のことである。現実に、スペイン、ポルトガルやギリシャと、その他のEU加盟国との格差はまだ大きい。東西ドイツ統一から14年が経過しているが、ドイツ人として、楽観論には汲みしえない。加盟後、人々の生活水準はよくなろうが、誤った期待を与えるべきではなかろう。
トルコのEU加盟について
( 参照)
トルコが政治的な加盟要件を満たせば、加盟交渉はすぐにでも開始されるが、交渉の枠組みが決定されるのは、同国のEU加盟の影響が分析された後である。スロベニアと同じように交渉が行われるであろうとの推測は誤りである。
確かに、トルコはかけ離れており、巨大で、また、イスラム教国であるが( 参照)、現EU加盟国政府の会合において、トルコのEU加盟が疑問視されたことはないことを率直に認める。EU加盟が実現しえないのは、同国が加盟要件を満たしていないためである。
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