他方、これらの点を除けば、両条約の内容は概ね一致している。これは、リスボン条約は憲法条約を出来る限り承継すべきとする加盟国政府の方針に合致している。このような観点から、憲法条約の本質が承継されたことは高く評価されているが、フランス国民やオランダ国民によって支持されなかった憲法条約に「化粧直し」を施しただけで、「再生」させたことを批判する立場もある(例えば、チェコのKlaus大統領)。
ただし、前述した内容面での違いも存在する。なお、当初、イギリスの Tony Blair 首相は、憲法条約の批准に先立ち、国民投票を実施するとしていたが、次期首相である
Gorden Brown は、内容的には同じでも、もはや憲法条約の批准が争点になっているわけではないため、国民投票を実施するという公約はリスボン条約に適用されないとした。
条約の一本化を断念
他方、形式面では大きな違いある。つまり、欧州憲法条約はEU条約、EC条約および EU基本権憲章 を統合し、新しい単一の法規範になることが想定されていたのに対し(詳しくは こちら)、リスボン条約は諸条約を統合しない。したがって、リスボン条約の発効後も、EU条約、EC条約および EU基本権憲章 は廃止されず、従来通り、独立した条約として適用される。なお、EC条約の名称は、「EUの機能に関する条約」(Treaty on the Functioning of the European Union)と改められる(リスボン条約第2条第1項)。
�E 欧州憲法条約によれば、EU理事会の新しい議決方式(二重の多数決制度)は、2009年11月より適用されることになっていたが(詳しくは
こちら)、リスボン条約は、2014年以降に先延ばしている(新EU条約第9c条第4項、EUの機能に関する条約第205条第3項)。なお、2014年から2017年までの移行期間においては、従来の特定多数決制度によることも可能である(see
"Declaration on Article 9 C(4) of the Treaty on European Union and
Article 205(2) of the Treaty on the Functioning of the European Union")。