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Lisbon Strategy
〜 リスボン戦略 〜

   ・ 内容 要約
   ・ 実施  
   ・ 中間評価
     High Level Group
 
    リンク
Lisbon

写真提供:Audiovisual Library European Commission
(下の Kok 氏の写真の提供も同じ)



High Level Group メンバーの Mirow 氏のインタビュー

 在独欧州委員会代表部が発行する EU-Nachrichten には、High Level Group のメンバーである Thomas Mirow (トーマス・ミロー)氏のインタビューが掲載されているが、その概要は以下の通りである。Mirow 氏(SPD)は、ハンブルク州首相を務めた経歴のあるドイツ出身の政治家である。


リストマーク High Level Group の報告書の内容について

 EU(15ヶ国)の状況は、定められた目標よりかけ離れているため、生産性、雇用率、また、研究・開発に関する目標参照の達成は不可能と解される。

 また、新規加盟国 は、重要な経済指標について、EU平均をはるかに下回っているため(なお、経済成長率は除く)、EU拡大 によって状況はさらに悪化している。


リストマーク リスボン戦略の目標は高すぎたかどうかについて

 断固とした取り組みがなされていないことが最も重要であるが、リスボン戦略は、〔1990年代後半の〕New Economy ブームの中で生まれたことも見過ごしてはならない。ブームが去り、経済成長が失速してしまったことは、目標の達成を困難にしている。


リストマーク 求められている「柔軟性」について

 〔失業問題の改善には、労働市場の柔軟化が必要であるとされているが〕「柔軟性」とは社会保障の切り詰めを指すわけではない。例えば、スウェーデンは、高い社会保障水準を維持する一方で、適応力のある労働市場を形成している。これに対し、大半の加盟国は、高齢化社会対策が進んでいない。また、研究・開発や人への投資が十分ではない。IT技術の導入に関しては、アメリカとの格差は開く一方である。つまり、現代化という観点において、ヨーロッパ社会は大きな遅れをとっている。


リストマーク アメリカとの比較 

 EUに比べ、アメリカの生活は30%豊かで、10%多くの人が働いている。また、労働時間は10%長く、IT産業に関しては、生産性も10%高い。


リストマーク EU内の格差が大きいことについて

 全加盟国がフィンランドやスウェーデンの水準にあるならば、杞憂すべき点はないが、ドイツ、フランス、イタリアは制度改革を推し進める必要がある。構造・文化的に加盟国は大きく異なっているので、解決策は容易に見つからない。これに対し、米国は比較的小さく、均質化された社会である。


リストマーク 中間評価に際し、リスボン戦略は見直しが必要かどうかについて

 2010年までに最も競争力のある経済地域に発展させるという目標の見直しについては、長々と議論すべきではない。なぜなら、その目標自体は適切であるからである。High Level Group は、新たな戦略を導入することではなく、以下の5つの事項に集中することを提案している。

知識社会の改善

域内市場の完成

ビジネス環境の整備(例えば、法人設立手続の迅速化)

労働市場の適応性を高めること

環境への投資の促進


 なお、これらの案件に関する権限は、加盟国の下に残っている。そのため、High Level Group は、国内の実施計画を発展させ、また、ソーシャル・パートナーとの議論を活性化することを加盟国首脳に提案している。

 

(参照) Europäische Kommission, Vertretung in Deutschland, EU-Nachrichten, 2004 Nr. 39, Seite 6 ("Entscheidung in Hauptstädten)



 リストマーク その他の中間評価について
High Level Group の報告書  こちらも 参照
Timboro の調査結果
2004年雇用調査報告書




(2005年1月3日 記)