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ブルガリア国旗 ブルガリアに制度改革の遅れ

ルーマニアとの同時加盟の可能性は?
ルーマニア国旗


 2006年6月、EU加盟国首脳は、ブルガリアとルーマニアのEU加盟時期について決定するが、それに先立ち、欧州委員会は、5月16日に報告書を発表する。近時、Rehn 委員(EU拡大担当)は、両国に対し、制度改革のテンポを速めるよう要請しているが、特に、ブルガリアの対策(組織犯罪対策や司法制度改革)の遅れが問題視されている。半年前までは、ルーマニアの制度改革の方が遅れていたが、現在は状況が逆転している。この点について、ブルガリアの Paravanov 大統領は、司法・内政分野の改革が不十分であることを認めるものの、欧州委員会は誤った情報に頼るべきではないと反論している(参照)。Stanischew 首相(39歳)もまた、確かに、ルーマニアは汚職対策で大きな効果をあげているが、ブルガリアの政策も着実に進展しており、両国に大差はないと述べている(参照)。



リストマーク 同時加盟の必要性

 加盟協定 によれば、両国のEU加盟は、必ずしも同時に実現されなければならないわけではないが、一方のみが取り残される状況は望ましくないとされている。これは、ブルガリアの加盟が1年遅れるとすれば、同国の国内政治に深刻な影響を及ぼしかねないためであるが、Stanischew 首相は、EU懐疑派の勢力が強まるだけではなく、これまでの制度改革が国民にも大きな痛みを与えてきただけに、世論の反発が強まるとし、加盟の先送りを警告している(参照)。トルコのEU加盟 と同様、EUは、No と言えない状況に直面していると解され、両国の同時加盟を承認せざるをえないであろう。なお、ブルガリアの状況を考慮し、ルーマニアは、自国の加盟についても先延ばし(2007元旦ではなく、中旬)を提案しているとされる(参照)。 他方、欧州委員会の Rehn 委員(EU拡大担当)は、1国のみの加盟を提案することもやぶさかではないとしている(参照)。

 1年前の2005年4月に締結された加盟協定では、ブルガリアとルーマニアの加盟時期は2007年元旦ないしその1年後と定められており、前述したルーマニアの提案(2007年中旬)や2009年以降という代替案は含まれていない(参照)。両国は、2004年5月の加盟(東方拡大)に間に合わなかったばかりか、2007(2008)年の加盟も実現しえないとなれば、制度改革に対するモチベーションを低下させかねないため、欧州委員会は2007(2008)年の加盟を支持する一方で、多くの保護規定の適用を提案するものと解される。

 


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(参照) Der Standard v. 21. April 2006 (Bulgarischer Premier: "Wir werden im selben Land wieder aufwachsen")
 

Der Standard v. 25. April 2006 (Bulgarien und Rumänien im Endspurt vor EU-Beitritt)

Die Presse v. 22. April 2006 (Erweiterung: Verzögerung für Rumänien?) 


Die Presse v. 15. April 2006 (Bulgarien patzt Rumänien an)

 

FAZ v. 17. Mai 2005, Seite 1 (Rumänien und Bulgarien noch nicht reif für den Beitritt)

 


ルーマニアのBasescu 大統領、自国のEU加盟について語る


欧州委員会、2007年の加盟に期待をつなぐ



New欧州委員会、ルーマニアとブルガリアの2007年元旦加盟を支持




(2006年4月30日 記)


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