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ユスティティア EUの教育・青少年政策




E.   訴 訟 の 審 理


2. 審理の進行
2.1.審理の流れ

 民事訴訟の審理(本案の審理)は以下のように進められる。


本案の審理に入る前に、訴状管轄権当事者適格 などの審査が行われる。




@

口頭弁論期日の指定、当事者の呼び出し(民訴法第139条)

矢印 

A

準備書面の提出(第161条参照)

準備書面のうち、被告が最初に提出する準備書面を 答弁書 と呼ぶ(第162条参照)。



争点を整理するため
 a. 準備的口頭弁論(第164条)
 b. 弁論準備手続(第168条)
 c. 書面による準備手続(第175条)
が行われることがある。

矢印

〔第1回目の口頭弁論期日〕

B

原告の請求内容・主張の陳述

矢印

C

被告の答弁・主張の陳述

第1回目の口頭弁論期日において、原告は訴状を陳述し、また、被告は答弁書を陳述することになっているが、実際には、裁判長が原告に「訴状通りであるか」と尋ね、原告がこれに「はい」と答えることで済ます。被告についても同様である。


 証拠調べ の結果を考慮し、裁判所は口頭弁論を直ちに終結することもできるが(第244条)、弁論の続行が必要と判断される場合には、次回期日を指定する。


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D

争点・証拠の整理  和解の勧告

ここで、上掲 a 〜 c の争点整理手続が実施されることもある。


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E 集中証拠調べ(第182条)

 証拠調べ の結果を考慮し、裁判所は口頭弁論を直ちに終結することもできるが(第244条)、弁論の続行が必要と判断される場合には、次回期日を指定する。


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F 弁論終結

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G 判決の言渡し





2.2.裁判所による指揮
(1) 手続の進行に関する指揮権
 民事訴訟手続を適切かつ迅速に進めるため、裁判所には手続を指揮する権限が与えられている(職権進行主義)。具体的には、以下の事項について、裁判所は当事者の申立てを待つことなく、決定することができる。

@

送達(第98条)

A

期日の指定(第93条)、期間の伸縮(第96条)

 期日とは、証拠調べや判決の言い渡しなど、裁判所、当事者やその他の訴訟参加人が所定の場所に集まり、訴訟行為をするために指定された時間を指す。

(例)

口頭弁論期日

証拠調べ期日

判決言渡期日

和解期日


 期日は裁判長によって指定されるが(第93条第1項)、原則として、日曜日やその他の一般の休日を避けて指定される(第2項)。


B

中断した手続の続行(第129条)

C

訴訟手続の中止(第131条)

D

 

時機に後れた攻撃防御方法の却下(第157条)

  A(原告)がB(被告)に未払家賃の支払いを求めて提訴する場合、Aは @賃貸借契約の締結、A契約に従い、賃貸借が行われていること、B賃料の支払期限が経過しても、Bが賃料を支払っていないことを主張し、Bがこれらを争うときは証明しなければならない。

  原告の申立てを基礎付ける一切の裁判資料を攻撃方法と呼び、逆に、被告の申立てを基礎付ける一切の裁判資料を防御方法と言う。原告および被告は、訴訟の進行状況に応じ、適切な時期に攻撃防御方法を提出しなければならず(適時提出主義)(第156条)、時機に後れて提出された攻撃防御方法を裁判所は却下することができる(第157条)。この決定に対し、当事者は直ちに不服を申し立てることが許されず、終局判決が言い渡された後、上級審に判断を求めなければならない(第238条本文)。

⇒ 時機に後れた攻撃防御方法の却下(第157条)

(要件) @

当事者が故意または重大な過失により時機に後れて攻撃防御方法を提出したこと

A

@により訴訟の完結を遅延させると裁判所が判断すること


 

(2) 審理の整序に関する指揮権

 上述した手続の進行に関する場合と同様に、審理の整序に関しても、裁判所には指揮権が与えられている。
 

@

裁判長の訴状審査権(第137条、第288条、第314条第2項)

A

裁量による訴えの移送

  ・ 遅滞を避ける等のための移送(第17条)
  ・ 簡易裁判所から地方裁判所への移送(第18条)


B

 

争点および証拠整理の手続(第164条、第168条、第175条)
この手続の終結(第166条、第176条第6項)
弁論準備手続の指揮(第170条第6項)

C

口頭弁論 の指揮(第148条、第155条)

D

証拠調べの必要性に関する判断(第181条)

E

証拠調べの指揮(第202条、第203条、第205条〜第299条)

F

弁論の制限・分離・併合(第152条)

G

弁論の再開(第153条)




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